IBCに出展した4K×2K映像を撮影できるビデオカメラ「F65」
IBCに出展した4K×2K映像を撮影できるビデオカメラ「F65」
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 ソニーは、画素数が4K×2K(3820×2160画素)の映像撮影に向けた業務用のビデオカメラを2012年1月に発売する。オランダのアムステルダムで2011年9月9日から開催中の国際放送機器展「IBC 2011」に製品を出展し、実際に撮影した映像のデモを見せた。欧州での価格は3万8000ユーロ(約402万円)。日本でも同時期に販売を開始する。

 IBCに先立ってドイツのベルリンで開催された家電展示会「IFA 2011」では、東芝が4K×2K映像を表示できる液晶テレビを製品化し、シャープも同等の画素数を備えた液晶テレビの2012年中の製品化を目指すことを明らかにしている。今回のソニーのビデオカメラは主に映画やコマーシャル映像の撮影などの用途を見込むが、今後は家庭向けも含めた4K×2K映像機器を巡るテレビ・メーカーやカメラ・メーカーの開発競争が激しくなりそうだ。

 ソニーが開発したビデオカメラの製品名は「F65」。2011年春に米国で開催された放送機器展「NAB」でプロトタイプを見せ、開発中であることを公表していた。実機を使ったデモは今回が初めて。

 撮像素子は、画素数が約2000万画素(有効画素数は1900万画素)の独自開発のCMOSセンサを採用した。撮像素子のサイズは、いわゆる35mm版である。映像のフレームレートは最大120フレーム/秒で、撮影しながらフレームレートを変更することができる。ソニーは、2011年の半導体国際会議「ISSCC」で同等の性能を備えたCMOSセンサの開発を発表しており、その技術が生かされているとみられる。

 4K×2K映像の記録に対応した専用メモリ・カード「SRMemory」も2011年9月から順次製品化する。記録容量は最大1Tバイトで、記録のデータ転送速度は5.5Gビット/秒と速い。外形寸法は105mm×60mm×9.4mmで、1Tバイト品にはデータレートが880Mビット/秒のフルHD(1920×1080画素)の映像を約128分間記録できる。F65には、専用の携帯型記録装置「SR-R4」にこのメモリ・カードを内蔵して映像を記録する。記録装置とカメラは専用の光インタフェースでつなぐ。

 撮影した映像の記録フォーマットは「F65RAW」。ソニーは、ノンリニア編集機器などを開発する映像制作機器メーカーにこのフォーマットの採用を呼びかける。2011年内をメドにライセンス契約に向けたプログラムを開始し、対応機器の開発を支援する。4K×2K映像の制作過程を同社のフォーマットで囲い込む狙いだ。このライセンス・プログラムは、HD映像などを含むSRMemoryを使った「SRMASTERフォーマット」に関するものである。