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 東芝は、無線LAN機能を搭載したSDHCメモリーカード「FlashAir」を発表した(発表資料)。記憶容量が8Gバイトの品種を2011年11月からサンプル出荷し、2012年2月から量産する。価格はオープンプライスで、量産時の市場推定価格は6000円台半ばとする。今後、日本や北米、欧州で無線の認証を取得予定である。

 FlashAirの想定する用途は以下の通り。例えば、2台のデジタル・カメラの間で、パソコンを介さずに無線通信で画像データを送受信する。また、クラウド・サービスへのアップロードやダウンロードも可能になる。画像データを送受信する場合にだけ、無線通信機能が起動するので、消費電力を抑えることができるとする。こうした利用法を可能にするには、FlashAir対応機が必要になる。現在、複数のデジタル・カメラ・メーカーがFlashAir対応機の発売を検討しているという。
 
 非対応機にFlashAirを入れた場合は、通常のSDHCメモリーカードとして利用できるだけでなく、無線LAN機能を搭載したスマートフォンやパソコンなどで、デジタル・カメラ内の写真データの再生やコピーが可能である。

 無線LAN規格として、IEEE802.11 b/g/nに準拠。利用環境にもよるが、伝送距離は数m~10mほどで、データ伝送速度は最大10Mビット/秒ほどとする。セキュリティ機能として、WEP、 TKIP、 AES(WPA、 WPA2)に対応する。SDHCメモリーカードとしてのスピードクラスは「CLASS 6」で、6Mバイト/秒のデータ伝送速度を担保する。

 東芝は、無線LAN機能を内蔵したSDメモリーカードの普及促進団体「無線LAN内蔵フラッシュメモリカード共同規格策定フォーラム」(仮称)を、2010年6月に設立した(Tech-On!関連記事1)。現在は「SD Association」内で、無線LAN機能を搭載したSDメモリーカードの標準化を進めているという。ただし、2012年2月の量産までに標準化が終了し、FlashAirがその仕様に準拠するかどうかは「未定」(東芝 広報)とする。

 なお、既に米Eye-Fi社やシンガポールのTrek 2000 International社が無線LAN機能を搭載したSDメモリーカードを製品化しているが、東芝はFlashAirの発表に当たり、「世界初」とうたっている。これは、「無線LAN機能を搭載しつつ、 SDHCメモリーカードの仕様に“完全に”準拠した製品を発売するのは、我々が初めてだと考えている」(東芝 広報)ことから、世界初としたという。