「政府任命ではない組織が必要」と考える人が74.3%――。東京電力の福島第一原子力発電所で起きた事故の調査体制について、政府任命の組織だけでは不十分という意見が多いことが『日経ものづくり』によるアンケート調査で分かった(調査概要を記事末尾に記載)。国を揺るがすほどの大事故をどう客観的に検証するのか、課題が山積している。

 福島第一原発で発生した事故の原因究明に向け、政府は2011年5月に事故調査委員会(正式名称:東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会、委員長:畑村洋太郎工学院大学教授)を創設。同年7月までに2回の会合を開催した。

 ただし、同委員会の調査対象に政府が含まれているにもかかわらず、委員を政府が決めたことから、野党などから「政府任命の組織では政府の対応を客観的に検証できない」として、国会任命の事故調査委員会を別に設置すべきという声が上がっている。

 そこで日経ものづくりのアンケート調査では、どのような組織が原発事故を調査すべきかを尋ねた。回答が最も多かったのは「政府任命の委員会は廃止して国会任命の委員会が進めるべき」(回答率は29.0%)だった(図1)。

図1●どの組織が原発事故を調査すべきか

 これと「政府任命の委員会と国会任命の委員会の両方で進めるべき」(24.6%)および「政府や国会とは別の機関が任命した委員会が進めるべき」(20.7%)を含めると、74.3%が政府任命ではない組織が必要と考えていることになる。「政府や国会とは別の機関」の例では、国際的な信用を得るためという観点から、国際原子力機関(IAEA)など海外の専門機関に依頼すべきという意見が多かった。一方、「政府任命の委員会だけで進めるべき」と回答した人は11.8%にとどまった。