Siano Mobile Silicon社VP,MarketingのRonen Jashek氏
Siano Mobile Silicon社VP,MarketingのRonen Jashek氏
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 イスラエルSiano Mobile Silicon社は、モバイル・デジタル・テレビ(MDTV)の受信用LSIを開発・販売する会社。世界でトップ・シェアを持つ。スマートフォンの普及をきっかけに今後、盛り上がりを見せると思われるモバイル・テレビの動向について、同社のVP,MarketingのRonen Jashek氏に聞いた(写真)。

―Siano社のLSIの特徴は。

 世界の各地で標準となっているすべてのMDTV方式と周波数に対応したLSIを用意している点だ。特に、欧州方式の「DVB-H/T」、韓国方式の「T-DMB/DAB」、日本方式の「ISDB-T/Tsb/Tmm」を1種類のLSIに統合して提供している。MDTV機能をスマートフォンやナビゲーション・デバイスに追加したいメーカーは、この統合LSIを採用すれば、一つのモデルで世界中に展開可能だ。中国方式の「CMMB」と北米方式の「ATSC-MH」については、別のLSIで用意している。ATSC-MHも、将来は統合LSIに組み込んでいく可能性が高い。

―日本では数多くの携帯電話機にワンセグ機能が搭載されているが、海外はどうか。

 日本と同様に韓国がMDTVの搭載率が高い。また、中国では政府と携帯電話サービスで60%のシェアを持つ中国移動通信(China Mobile社)が、CMMB方式を積極的に携帯電話機に取り込むよう動いていることもあり、搭載率が上がってきている。

 ISDB-Tを採用しているブラジルやアルゼンチンなどの南米の国々でも、今後、ワンセグ・ベースのMDTVの普及が進むとみている。ブラジルで、2014年にサッカーのワールドカップ、2016年にオリンピックが開催されるからだ。ここには大きなビジネスチャンスが眠っている。
 
 北米も注目株だ。2011年からATSC-MHベースのMDTVサービスが本格的に立ち上がってきたからだ。スマートフォンにATSC-MHの受信器が搭載される機運もある。

―DVB-Hを提供している欧州はどうか。

 我々も期待していたのだが、残念ながら完全に失敗したとみている。EU全体で共同歩調がとれず、各国ごとに放送免許の許認可を行ったため、同時に全欧州でサービスを開始できなかった。また、有料サービスとして提供を始めたために、完全に失速した。

―日本にSiano社の顧客はいるか。

 これまでのところ、直接日本メーカーと取り引きをした実績はない。しかし、ソフトバンクモバイルが販売しているiPhone向けのワンセグ機能搭載充電器に採用されるなど、台湾などのOEM先を通じて間接的にSianoのLSIが搭載された製品が入ってきている。Sianoの製品に興味を示す日本メーカーが出てきており、今後数カ月以内に、Sianoと日本メーカーのパートナーシップに関して大きな発表ができると思う。