EVコミュータ時代の幕が開ける。この7月25日に三菱自動車から実質的な購入価格が150万円台と軽自動車並みのEV「i-MiEV M」が登場してきた。

 これまでEVは、国や地方自治体が実施している電気自動車向けの補助金制度を活用しても実質的な購入価格は250万円前後と高価だった。とてもコミュータと呼べるクルマではなかった。i-MiEV Mも販売価格こそ260万円と高価だが、政府の「クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金」74万円、神奈川県の「電気自動車導入補助金」37万円を活用すれば150万円台と軽自動車並みの価格で購入できる。神奈川県以外にも東京都、埼玉県などの地方自治体が電気自動車の補助金制度を設けており、神奈川県以外でもi-MiEV M を150万円台で購入することが可能である。さらに、電気自動車補助金制度を導入している市・区などもあり、その補助金制度を活用すればユーザーはEVを実質的に100万円台前半で購入できる。高価だったEVが一気に身近なクルマとなってきた。

i-MiEV Mがコミュータという新分野を切り開く

 こうした100万円台のEVは、近距離コミュータという新たな分野を切り開く可能性を秘めている。ここでいうコミュータとは都市内の移動や近郊からの通勤に使われる小型乗用車を意味する。経済産業省次世代自動車研究会の報告書「次世代自動車戦略2010」中でも、EVを近距離・域内コミュータと位置づけている。トヨタ自動車も同社のホームページ等でEVを近距離コミュータに分類し、中距離をカバーするHEVやPHEVなどの乗用車とは異なるクルマと位置づけている。

 EVを近距離コミュータと位置づける理由は航続距離にあるが、EVにはそれなりのメリットがある。クルマとしては直接CO2を排出せずに環境に優しい。三菱自動車が実施した「全国のドライバーアンケート調査」によると、90%の一般ドライバーが平日1日に走行する平均距離は40km以下であるという。仮に90%のドライバーがCO2を排出しないクルマに乗ればCO2排出量削減目標に大きく貢献できる(この記事の詳細はこちら)。