日本マイクロソフトは,ゲーム開発用ツールの展示会「GTMF 2011」の併設セミナーで,Xbox 360向け最新技術について講演した(Tech-On!関連記事1)。この中で,Windows Phone 7採用スマートフォンとの連携やジェスチャー入力コントローラ「Kinect for Xbox360」の機能拡張を紹介した。

 Windows Phone 7採用スマートフォンとの連携では,端末のタッチ・パネル画面と,Xbox 360と接続したテレビの画面の2画面を利用してゲームを楽しむプロモーション映像を講演内で披露した。同映像内では,ある男性ユーザーがKinect対応ゲームを楽しんでいる。テレビ画面には男性のアバターが映っており,それに向かってボールが飛んでくる。男性がその玉をよけると,その動きに連動して画面内のアバターが動いて玉をよける。男性は,ボールの飛んでくる方向が分からないため,瞬時に判断してボールをうまくよけなくてはならない。

 一方,男性ユーザーのそばにはソファーに座った女性がおり,手元にWindows Phone 7採用スマートフォンを持っている。スマートフォンにはテレビ画面と“ほぼ”同じ映像が映っている。違いはボールの飛んでくる方向が分かること。なぜなら,この女性が,前述したボールを男性ユーザーのアバターに向かって飛ばしている“張本人”だからだ。女性ユーザーは,手元のスマートフォンの画面に映る男性ユーザーのアバターの位置を見て,そのアバターにボールが当たるようにスマートフォンの画面をタッチしてボールを飛ばしている。つまり,女性がボールをぶつける側で,男性がボールをよける側で,それぞれ見ている「視点」が異なる。複数のプレーヤーの中に異なる視点で操作するプレーヤーが混じっているのだ。

 この映像は,任天堂のWii Uをほうふつとさせる。Wii Uでは,テレビ画面とWii Uのタブレット型コントローラの画面の2つを利用して遊ぶ。この二つの画面に対し,それぞれ異なる映像を映すことができる。例えば鬼ごっこのようなゲームで,逃亡者側と追跡者側の映像を変える,といった具合だ(Tech-On!関連記事2)。こうしたWii Uのような遊び方を,米Microsoft社はXbox 360とWindows Phone 7採用スマートフォンを組み合わせることで実現しているのだ。

方言も認識できる


 講演では,累計販売台数が1000万台を超えたKinectについても言及した。講演中,時間を割いてアピールしていたのが,Kinectによる音声認識技術である。例えば,周囲の雑音やゲームから発する音楽の中から,プレーヤーの声だけを抽出するデモを見せた。音声認識率の向上や対応言語の種類を増やすことに取り組み続けているという。日本語の場合,イントネーションが変わるだけならば,方言も認識可能とする。ただし,名称自体が変わってしまう方言と,別の意味として認識してしまう。

 ジェスチャー入力技術に関しては,2011年6月に開催されたE3で発表された検出機能の拡張について説明した。指の動き検知や,アバター自動生成技術,Kinectが搭載するカメラでユーザーを捉えてユーザーそっくりのアバターを自動的に生成する機能,物体を画像認識し,その物体に似たキャラクターを自動的に生成する機能である(Tech-On!関連記事3)。このほか,座った状態でも,より正確にジェスチャー認識できるように改善を施したとする。

  また,KinectをWindows搭載パソコンで利用するためのSDK「Kinect for Windows SDK beta」
(非商用向け)を紹介した(Tech-On!関連記事4)。同種の非公式ツールは以前よりあったが,「動きを検知できるのは一人。Microsoft社の公式SDKは,ユーザー二人の動きを検知できる点が大きく違う」(日本マイクロソフト)という。

 GTMF 2011の展示会場ではKinectによる実演を行っていた。画面には複数の立体物が表示されており,両手を押し出す動きをして,この画面内の立体物を押す,という実演である。

日本マイクロソフトによるデモ。Kinectに向かって手を押し出す動作をすると,画面にある立体物を押すことができる。画面内の緑の手が,ユーザーの手の動きに応じて動く。
日本マイクロソフトによるデモ。Kinectに向かって手を押し出す動作をすると,画面にある立体物を押すことができる。画面内の緑の手が,ユーザーの手の動きに応じて動く。
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