2種類の材料を混ぜ合わせて造形した肝臓の生体モデル
2種類の材料を混ぜ合わせて造形した肝臓の生体モデル
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実際の手術の様子。スタッフが生体モデルを見ながら処置方法を議論している
実際の手術の様子。スタッフが生体モデルを見ながら処置方法を議論している
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3次元プリンター「Objet260 Connex」
3次元プリンター「Objet260 Connex」
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 神戸大学医学部附属病院は、3次元プリンターで造形した生体モデルを実際の手術の現場に持ち込み、複数の手術を成功させた。その成果を、2011年6月29~30日にパシフィコ横浜で開催された「MEDTEC JAPAN 2011」で発表した。手術に利用したのは、2種類の材料を混ぜ合わせて造形できる3次元プリンターを使った生体モデル。このような生体モデルを利用して手術を成功させたのは、「世界初」(神戸大学大学院医学研究科 神戸大学医学部附属病院 特命講師の杉本真樹氏)であるという。

 イスラエルObjet Geometries社の3次元プリンターの新製品「Objet260 Connex」を用いた。同製品は、2011年6月末に東京で開催された「設計・製造ソリューション展」で初めて公開されたばかり(関連記事)。2種類の材料を混ぜ合わせて造形できるため、一方の材料を透明な素材にすれば、人体内部の骨や腫瘍などの位置を外部から確認できる生体モデルを造形できる。同社の販売代理店であるファソテックの展示ブースで、複数の生体モデルを展示していた。

 神戸大学医学部附属病院は、ファソテックの展示ブースにおいて、実際の手術の様子を撮影した映像を紹介していた。紹介したのは、肝臓がんの手術や奇形手術などに生体モデルを活用した例である。

 このような生体モデルを利用することで、「手術の精度が格段に高まる」(神戸大学の杉本氏)という。例えば、実際の臓器を処置する前に、処置方法のシミュレーションが可能になる他、「手術中に生体モデルと照らし合わせながらスタッフと議論し、最適な方法を選択できる」(同氏)。さらに、若手の医師に向けた教育にも役立つと見る。