Motorola社のソフトウエア基盤を使ったタブレット端末向けUIのデモ
Motorola社のソフトウエア基盤を使ったタブレット端末向けUIのデモ
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Seachange社のタブレット端末向けUIのデモ
Seachange社のタブレット端末向けUIのデモ
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 米国のケーブル・テレビ(CATV)で利用者が使う視聴端末向けのソフトウエア開発で、ユーザー・インタフェース(UI)やセットトップ・ボックス(STB)のリモコン操作などにHTML5などのWeb標準技術を採用する動きが活発になっている。テレビだけではなく、スマートフォンやタブレット端末、パソコンで映像コンテンツを視聴できるサービスが盛り上がりを見せていることが背景にある。テレビの大きな画面とタブレット端末などの小さな画面を組み合わせて、放送コンテンツとインターネットのWebサービスを連携させる技術開発が米国で今後加速しそうだ。

 2011年6月14~16日(米国時間)に米国シカゴで開催された「The Cable Show 2011」では、Web標準技術を使う視聴端末向けのソフトウエア基盤の発表やデモが相次いだ。タブレット端末やスマートフォンにIP通信で映像を配信し視聴できるようにすると同時に、これらの端末をWebサーバーを介したSTBのリモコン操作や、インターネットのソーシャル・メディアを使った映像コンテンツのリコメンド(推薦)機能などの実現に活用している。

 米Motorola Mobility社は、タブレット端末やスマートフォンのUIを実現する「Medios Xperience Platform」と呼ぶソフトウエア基盤を開発した。このソフトウエアとWebサービスを組み合わせることで、タブレット端末やスマートフォンをSTBのリモコンとして利用できる。

 Webブラウザ上に表示された放送コンテンツの電子番組表や、VOD(ビデオ・オン・デマンド)コンテンツの一覧から視聴したい映像コンテンツを選択すると、その内容がインターネット上のWebサーバー経由で家庭内に設置したSTBに送信される。

 CATV向けにコンテンツや広告の管理システムを開発する米SeaChange International社も、同様のUI用ソフトウエア基盤「Nitro」を開発した。タブレット端末やスマートフォンに加え、STBでもWebブラウザを使ったUIを実現できる。

 放送コンテンツやVODと同様に、HDDを内蔵したDVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)に録画した映像コンテンツも一覧表示する。同社のコンテンツ管理システムと連動したリコメンド機能も備える。同機能では、オランダRoyal Philips Electronics社の研究開発部門から独立したAPRICO Solutions社の技術を採用した。

 こうしたUI向けのソフトウエア基盤を開発する企業は、「Facebook」や「Twitter」を中心としたソーシャル・メディアと連動した機能開発にも積極的だ。

 Webサーバーを介してソーシャル・メディアと連携することで、インターネット上の人と人とのつながりを示す、いわゆる「ソーシャル・グラフ」を活用したサービスを開発する動きだ。知人が薦めるテレビ番組を知らせるリコメンド機能や、テレビを視聴しながらチャット(会話)ができる機能など、今後“ソーシャル・テレビ”のキラーアプリを模索する取り組みが本格化しそうだ。