ルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長の赤尾泰氏(左)と同社 生産本部 那珂工場長の青柳隆氏(右)
ルネサス エレクトロニクス 代表取締役社長の赤尾泰氏(左)と同社 生産本部 那珂工場長の青柳隆氏(右)
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那珂工場生産品の供給能力を9月末に100%へ
那珂工場生産品の供給能力を9月末に100%へ
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露光エリアの様子。緑ランプが目立つ
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洗浄エリアの様子
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総勢8万人以上の人的支援を受けた
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横断幕に「→感謝 再開実現」の文字
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 ルネサス エレクトロニクスは2011年6月10日、同社 那珂工場で生産していた品目の供給能力を震災前の水準に戻す時期を、2011年9月末に前倒しすると発表した。10月末としていた前回の発表から、復旧計画が1カ月早まったことになる(関連記事)。

 復旧計画を前倒しできたのは、9月の供給能力のうち、那珂工場での生産分を前回発表の15%から35%に20ポイント上方修正できる見通しになったためだ。これは同工場で試験生産したチップの品質が十分に高かったことや、製造装置メーカーが当初の計画よりも前倒しで復旧を支援してくれたことなどによる。

 9月の供給能力のうち、35%を那珂工場の生産分、65%を他工場での代替生産でまかなう。代替生産分のうち、60%はルネサス・グループの他工場、40%はSiファウンドリーで生産する。10月の供給能力は明確に示されていないものの、震災前の水準(100%)を超える見通しである。これは下期に増産を予定している自動車メーカーなどの需要に応えるためとする。

 なお、那珂工場では、200mmラインが6月1日、300mmラインが6月6日から生産(Siウエハーの投入)を再開している。現在の稼働率は200mmライン、300mmラインを合わせた平均値で約30%。生産再開品の完成品が出荷されるのは、2011年8月末の予定である。

 今回、同社は生産を再開した300mmラインを報道機関向けに公開した。4月27日に200mmラインを公開したときには、製造装置が立ち上げ中であることを示す赤ランプが目立っていたが、今回見せた300mmラインでは装置が稼働中であることを示す緑ランプ、またはスタンバイ状態を示す黄色ランプが多かった(200mmライン公開時の記事)。

 300mmラインの公開に先立って会見した同社 代表取締役社長の赤尾泰氏は、復旧に際して自動車メーカーなどから最大2500人/日、のべ8万人にも上る復旧人員の支援を受けたことに対し、「深く感謝したい」(同氏)と述べた。また、震災から約3カ月が経過した現在の心境として、「早く復旧できて本当に良かった。正直、ホッとしている」(同氏)と述べた。