パナソニックは2011年6月2日、60GHz帯の送受信部とベースバンド処理部から成る、小型携帯端末向けGビット無線伝送回路をCMOSプロセスで集積化する技術を開発したと発表した(発表資料)。ミリ波を使う高速無線通信の業界団体WiGigの仕様やIEEE802無線委員会の策定するIEEE802.11adドラフト仕様に対応した。

 今回開発した技術を利用すると、従来の無線LANの20倍以上の高速通信が可能になるとする。これにより「一般的な符号化技術で圧縮された30分程度のHD映像を、10秒以下で転送できる」(パナソニック)。送受信回路や周辺回路の最適化を図ることにより、消費電力を1W以下に抑えた。

 さらに、伝送するデータの信頼性を高めるために必要な誤り訂正符号の復号化回路を最適化することで、回路規模を同社従来品から30%以上削減した。誤り訂正符号は一般に、無線伝送する距離や無線伝送速度に応じて切り替える必要があるため、複数の誤り訂正符号が用意されている。それぞれの誤り訂正符号に対応する演算回路が必要なため、回路規模が大きくなる課題があった。

 パナソニックは、WiGig仕様やIEEE802.11adドラフト仕様で定義された異なる複数の誤り訂正符号に対して誤り訂正符号の復号化処理方法を変形し、一部の回路を共通化することでデジタル回路の規模を削減した。

 なお、パナソニックは今回の成果を、2011年6月5日から8日に京都で開催される「IEEE International Conference on Communications2011(ICC2011)」で披露する予定。