「主力事業の構造転換」について説明する佐々木則夫氏 Tech-On!が撮影。スライドは東芝が作成。
「主力事業の構造転換」について説明する佐々木則夫氏 Tech-On!が撮影。スライドは東芝が作成。
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共通プラットフォームによる開発スタイル スライドは東芝が作成。
共通プラットフォームによる開発スタイル スライドは東芝が作成。
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 東芝の佐々木則夫氏(代表執行役社長)は,2011年5月24日の経営方針説明会で,AV機器の技術とPCの技術を統合した新たな「デジタル・プロダクツ」の開発スタイルの変革について明らかにした。

 同氏は「2013年度に連結営業利益5000億円、海外売上高比率65%を目指す」といった全社の方針に加えて(Tech-On!関連記事1),重点事業の目標やそれを達成するための施策についても明らかにしている。例えば,半導体事業に関しては,「2013年に300mmウエハーSoCの80%超を外部委託する」ことなどを語った(同2)。PCやテレビなど,同社が「デジタル・プロダクツ」と呼ぶ事業に関しては,次のような内容を語った。

 まず,2011年4月に行ったデジタル・プロダクツの新製品発表会で説明されたPC事業とAV機器事業の統合について改めて紹介した(Tech-On!関連記事3)。その理由を二つ,佐々木氏は今回,語っている。一つは製品の機能が両者で似てきたことである。ケータイ電話機やモバイル機器,PC,AV機器(テレビ)は同じコンテンツを扱うようになってきたからだ。

 もう一つの理由は合理化である。「世界市場でのリーダーになるためには,収益性をより高める必要がある。似た事業は統合して,例えば,固定費を削減する」(同氏)。さらに,佐々木氏は開発の効率化を狙ったプラットフォーム構想も,今回,明らかにした。PCの技術とAV機器の技術を融合したデジタル・プロダクツの高付加価値製品を「SmartX」(仮称)と名付けた共通プラットフォームをベースに開発していく。

 富士通に任せることになった携帯電話機は開発しないが,それよりも少し大きな画面をもったモバイル機器から,タブレットPC,ノートPC,そして大画面のテレビまでSmartX をベースに開発するという。これで,コスト削減に加えて,機器が変わってもユーザーが同じ感覚で使えるようにすることを目指す。

 SmartXで余裕が出た開発リソースは,次世代POS・KIOSK端末,デジタル・サイネージなどのB to Bの新規事業に回したいとした。SmartXベースの高付加値品の売上高は,2015年度に8000億円を目標とする。