ディスプレイ関連で世界最大の学会「SID 2011」(米国ロサンゼルス、2011年5月15~20日)の展示会場レポートの韓国LG Display社編。同社も、韓国Samsung Electronics社と同様に、3D(3次元)ディスプレイの展示を全面に押し出していた。明らかにSamsung社を意識したと思われるアクティブ・シャッター方式とLGが推奨するパターン・リターダー方式(パッシブ方式)の比較展示を行っていた。

 それぞれの方式の長所と短所がよく分かるという意味では効果的な展示だと思うが、実際にどちらが良いかは個人の好みによって意見が分かれるところだろう。逆に言えば、現在商品化されている3D方式の画質が、消費者の要求に十分応える水準には達していないということを改めて認識させる展示でもあった。

写真1 LG Displayの展示ブース

写真2 3D用メガネの比較。左がアクティブ型で、右がLGが採用するパッシブ型。パッシブ型は軽く、安く、自由なデザインが可能で、長時間かけても疲れにくい。

写真3 3D用メガネの画像に対して見る角度依存性の比較。左のアクティブ型では、画面に対して見る角度を変えると立体視できなくなる。一方、右のパッシブ型では大丈夫である。

写真4 左がアクティブ方式、右がLGのパッシブ方式。確かに左右のクロストークが無いので目が疲れにくく、明るい画像なのでぱっと見た目の第一印象は良い。しかし、目が慣れてくるとすぐに、解像度不足のため画像の粗さが気になってしまう。それぞれ一長一短であることがよく分かる展示である。

 一般に、メガネ無しの3D方式では視点(View)の数と解像度がトレードオフの関係になり、立体視できる領域とその隣の立体視できる領域の間に必ず立体視できない領域が存在する。それを極力減らすことのできる新しい3D方式を、今回LG Display社は展示していた。図の説明によれば、ジャイロ・センサを内蔵しパネルの向きによってバリアの開口領域をずらして、その角度に最も適したViewを確保しているようである。画質はあまり良いとは言えないが、確かに見る角度を変えても立体視が崩れにくいことは分かった。

写真5 4.3型、視覚フリーのメガネ無し2D/3D液晶パネルの表示画像

写真6 4.3型、視覚フリーのメガネ無し2D/3D液晶パネルの説明ボード