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HOMEスキルアップマネジメント > 【インタビュー】「ネットの映像配信を取り巻く状況は、1980年代のCATV革命に似ている」

【インタビュー】「ネットの映像配信を取り巻く状況は、1980年代のCATV革命に似ている」

Fred Seibert氏 CEO Next New Networks (肩書きは当時のもの)

  • 内田 泰=日経エレクトロニクス
  • 2011/05/20 16:44
  • 1/1ページ
撮影中のコンテンツに出演しているゾンビに囲まれる、Fred Seibert氏
撮影中のコンテンツに出演しているゾンビに囲まれる、Fred Seibert氏
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 米Google社傘下のYouTubeは2011年3月、インターネット向け映像コンテンツの制作および配信ネットワークを展開する米Next New Networks社の買収を発表した。YouTubeの狙いは、コンテンツの制作能力を向上することなどにある。

 Next New Networks社が制作したり、配信したりする映像コンテンツの中には、以前からYouTubeでかなりの人気を博していたものがある。こうした自主制作のコンテンツは、スマートテレビのような新しいネット・テレビにおいて、米ハリウッドの大手スタジオなどが制作するコンテンツと並んで重要になると見られる。
 
 日経エレクトロニクスは2010年10月、Next New Networks社の創業者でCEOのFred Seibert氏にインタビューした。MTV Networkの第一号社員という経歴を持つ同氏に、同社の設立の経緯やスマートテレビなどに対する展望を聞いた(聞き手=内田 泰)

--Next New Networks社を設立した経緯を聞かせてほしい。

Seibert氏:私は2005~2006年ごろに、映像コンテンツはインターネットを通じて多くの人々に届けることが可能になり、その市場は巨大になると確信した。映像コンテンツを取り巻く状況は、米国で1980年代に起きた「CATV革命」に似ている。

 しかし同時に、インターネットは映像の世界を混沌とさせた。事実、視聴者も広告主も、映像コンテンツを探すのに一苦労している。そこで我々は、インターネット上にある同じタイプの映像コンテンツを集めた配信ネットワークを作った。

 私は以前、世界最大の音楽チャンネルである米MTV Networks社でプロデューサーをしていた。音楽や映像メディアが好きだからMTV社に第一号社員として入社したわけだが、入社当時は「どうしてこんな会社が存在するのか」を理解していなかった。そこでこの問いを上司に質すと、「新しいメディアには新しいブランドが必要なのだ」という答えが返ってきた。つまり、インターネットの映像配信という新しいメディアに対しては、新しいブランドが必要な状況になっているのだ。

 我々は2007年に設立後、約4年間で25~30のネットワークとブランドを作った。その多くはエンタテインメント向けである。

--御社の映像コンテンツは、広く受け入れられているのか。

Seibert氏:我々が制作したネットワークのうち、いくつかは視聴者から支持を得て巨大になり、いくつかは失敗した。

 例えば今、10代の若者にすごい人気なのは、「Key of Awesome」というネットワークだ。2010年にYouTubeでトップ5に入るチャンネルになっている。2009年に、我々のページ・ビューは前年比5倍に成長した。2009年の月間視聴回数は3億だったが、2010年は15億に増えた。

--御社では映像コンテンツの自主制作も行っているのか。
 Seibert氏:我々はインターネットでの配信向けにオリジナルの番組も制作している。我々が配信している映像の半分が自主制作である。

 あなたがオフィスに来たときに見た、ゾンビの衣装を着た人たちは、自主制作の映像コンテンツに出演している人たちだ。低コストで制作するために、オフィスで撮影しているんだ。私の周りにいる若い人たちが、“未来のテレビ”といえるものを、再発明している最中だ。

 一般のテレビ向けでは30分以上の比較的長い番組が見られるが、インターネットでは番組の尺は自由でもっと短い。我々は主に、1~5分程度の番組を作っている。

 既存のテレビは、すべての映像コンテンツをすべての人に届けるビジネス・モデル。インターネットはもっと特化したコンテンツを、特定の人に届けるモデルだ。両者はモデルが全然違う。当然、やり方は変わる。

--こうした新しいビジネスで成功するために必要な要素は何か。

Seibert氏:我々がやらねばならないのは、映像を制作するプロデューサーに対して、インターネットではどのような映像が人気が出るのか、そしてどうやれば成功するのかなどを示すことだ。既存のテレビ業界から学ぶこともあるし、逆に無視すべきこともある。

 我々が映像ネットワークを作って成功すると、外部の独立系プロデューサーが接近してきて、我々と知見をシェアし、ときに彼らの番組を配信するようになった。最近の成長のほとんどは、こうした外部の独立系プロデューサーが作ったコンテンツによる。

 インターネットは成長するプラットフォームなので、こうしたことが必要だ。自社で映像コンテンツを作るのは金がかかるし、時間もかかるからだ。

 インターネットの映像コンテンツの売り上げは、当然のことながら、現在は低い。しかし同時に、制作コストも安い。これは30年前のMTVの状況と似ている。

 当時、MTVで最も人気がある音楽ビデオの制作費は5000米ドルだった。これは1台のカメラを使い、カーテンが開くとミュージック・バンドが演奏を始めるという単純なものだった。しかし、今では音楽ビデオの制作費は50万米ドル程度もする。メディアが昔より洗練され、より売り上げが増えたので制作費をかけられる。

--Next New Networks社が配信する映像は、主にパソコンで見られているのか。

Seibert氏:我々は、いろんなデバイス向けに配信している。スマートテレビ向けプラットフォームを展開する米Boxee社や、米Tivo社などとも提携している。ミッションは、消費者が映像を見たいと思うところには、どこにでも配信することだ。我々は、YouTubeに対して配信を開始した最初のプロフェッショナルな会社でもある。

--Google TVのようなスマートテレビの登場をどう見ているのか。

Seibert氏:消費者は、サービスに便利さと選択肢を求めている。どのサービスでもデバイスでも、これらを満たせば魅力あるものになる。「チョイス」がより重要で競争力を持つ環境になった今、スマートテレビの動向は興味深い。

 ただし、「何でも見れますよ」、では十分ではない。見たいものを、見たいときに、すぐに見れるようにすることが重要だ。「即座に手に入る」ことはすべてと言っても過言ではない。

 膨大なコンテンツを探すのに、検索かソーシャル的な手法なのか、どの方法がいいのかまだこれと言った解はない。ただし、この二つの異なる手法は、メディアの将来のエンジンになるだろう。

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