新開発の大型特殊フォークリフト
新開発の大型特殊フォークリフト
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 三菱重工業は、東京電力の福島第一原子力発電所周辺のがれきを処理するための大型特殊フォークリフトを大手ゼネコンによる共同企業体に納入する。放射線を遮蔽するキャビンを搭載しており、放射線汚染地域においても操縦者の安全を確保しながら効率よく作業を進められるという。納入日は、1台目が2011年5月2日、2台目が同月20日を予定している。

 今回納入するのは、定格荷重が15tのフォークリフトをベースに全辺溶接構造の密閉キャビンを搭載したもの。同社の車両システム技術、フィルタ技術、厚板溶接技術、放射線遮蔽/管理技術などを駆使し、約1カ月で開発・製造した。キャビンは、厚さが100mmの鋼板と同230mmの鉛ガラスで構成されており、放射性を大幅に遮蔽できるという。同社の放射能試験設備で耐放射線性を事前検証した上で出荷する。

 ヒンジドフォーク、バケット、箱物クランプ、回転フォークといった装備を有しており、コンテナを動かすだけではなく、がれきをコンテナ内に収納することも可能とした。放射線に汚染された物質を除去するフィルタも備えており、浄化した空気のみをキャビン内に供給する。さらに、空気浄化装置でキャビン内を与圧することにより、外気の侵入も防げる。エアコンも搭載した。

 福島第一原発の周辺では、大成建設/鹿島/清水建設から成る共同企業体ががれき処理作業を担当している。三菱重工が新たに納品するフォークリフトは、無線操縦式の重機による施工工事を補完する役割を担う予定だ。