「今後、数年のうちに500社もの企業がNFCを使った新規ビジネスを立ち上げるだろう」――。

図1  NFC機能を搭載するスマートフォン「Nexus S」
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 2010年11月、米Google社 Chairman of the Board兼Chief Executive Officer(2011年4月4日より会長)のEric Schmidt氏が近距離無線通信技術「NFC」(near field communication)への期待を語った。その直後となる同年12月、同社は携帯機器向けソフトウエア・プラットフォームの新版「Android 2.3」を、NFCに対応させることを明らかにした( Tech-On! 関連記事1 同2)。さらに、同社ブランドのスマートフォン「Nexus S」(韓国Samsung Electronics社が製造)に、NFC機能を組み込んだ(図1)。

図2 ウイスキーの真贋を判定しているところ。NXP社によるデモ
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 NFCに注目するのはGoogle社だけではない。米Apple社やカナダResearch In Motion Ltd(RIM社)、フィンランドNokia社など、スマートフォン業界の雄たちがこぞってNFCに熱い視線を送っている( Tech-On! 関連記事3 同4)。2011年後半には、NFC機能を搭載したスマートフォンが数多く登場することになるだろう。そして、NFC搭載端末を利用してサービスを展開しようと、世界中の機器/部品メーカーや事業者、アプリケーション開発者などが取り組みを強化している(図2、 Tech-On! 関連記事5 同6 同7 同8

日本では既におなじみのサービス

海外でこれから離陸しようとしているNFCを利用したサービスだが、日本に住む我々にとっては既におなじみのものばかりである。2001年にサービスを開始したJR東日本の交通カード「Suica」やビットワレットの電子マネー「Edy」を皮切りに普及が進み、2004年には「おサイフケータイ」として携帯電話機の機能として追加された。

 日本で提供されているサービスの多くは、ソニーが開発した近距離無線通信技術「FeliCa」を利用している。FeliCaの無線部はNFCの標準規格の一つ「ISO/IEC18092」で、決済サービスに必要な暗号化処理などの上位ミドルウエアはソニーが規定する独自品である。

Type A/Bの攻勢が始まる