「クアッドコア」に「2.5GHz」「LTE対応」──。

 2011年2月にスペイン・バルセロナで開催されたモバイル関連の展示会「Mobile World Congress 2011」(以下、MWC2011)で大きな話題になったのが、スマートフォンやタブレット端末に向けた半導体の劇的な進化だ。2012年ごろには,2~4個のCPUを搭載し,最大2GHz程度で動作する高性能なプロセサを採用したスマートフォンやタブレット端末が多数登場する見込みだ。

 日経BP社が開催するスマートフォン関連の総合カンファレンス「スマートフォン2011春」の3日目、2011年4月28日に設けられたハードウエア・トラックには、スマートフォン向け半導体を提供する主要な企業が出そろった。半導体の進化の道筋から、未来のスマートフォンの姿を垣間見れそうだ。

「Snapdragon」シリーズの第4世代品となる3品種を発表
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 スマートフォンの中核部品の一つが、OSやアプリを動作させるCPUや、グラフィックスを描画するGPU、映像や音声の処理回路などを集積した「アプリケーション・プロセサ」である。そのスマートフォン向けアプリケーション・プロセサで今、覇権を争っているのが米Qualcomm(クアルコム)社と米NVIDIA(エヌビディア)社である。

 Qualcomm社は、W-CDMAやCDMA2000といった移動通信方式に必要な信号処理を受け持つ「ベースバンド・プロセサ」とアプリケーション・プロセサ、電波の送受信を行う「RFトランシーバ」などを組み合わせた携帯電話機向けチップセットを供給する企業。2007年には、CPU部の動作周波数が1GHzに達するモバイル用プロセサを業界で初めて発表した。「Snapdragon」ブランドを冠したQualcomm社のプロセサは、現在の多くのスマートフォンに採用されている。

モデム用チップセット3品種を発表した(写真左下)。アプリケーション・プロセサ統合型チップセット「Snapdragon」の新製品の計画も明らかにした
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 そのQualcomm社はMWC2011において、CPUの内部構造を刷新して動作周波数を最大2.5GHzまで高めた次世代Snapdragon(関連記事)や、次世代の移動通信方式であるLTE(long term evolution)の端末カテゴリ4(下り最大150Mビット/秒)に対応する通信用チップセット(関連記事)などを発表した。「スマートフォン2011春」では、最近発表したこれらのSnapdragonプロセサや通信チップセットの概要、複数CPUの動作周波数を処理負荷に応じて非同期で動的に変えることで消費電力を削減する技術などの詳細を明らかにする予定だ。