東芝は,東日本大震災後の電力システム復旧に向けた同社グループの対応状況を公表した。原子力発電所の事故に対しては,既に100人以上の技術者を現地に派遣,今後も状況に応じて増強していく。700人の技術者から成る対策チームも設置済み。米国からの協力も受けながら,原子力発電所の安全性確保に取り組む。東北・関東地域における電力供給不足に対しても,150人の対策チームを設置して関連事業所をフル稼働させる。被災設備の早期復旧や定期検査・休止中の発電所の再開を急ぐ。

 まず原子力発電所の安全確保に向けては,地震発生直後に約700人の技術者から成る専門対策チームを設けた。設置場所は,本社と,原子力発電関連技術のエンジニアリング拠点である磯子エンジニアリングセンター。現在は24時間体制で情報の収集や分析,対策の立案をしている。福島第一原子力発電所と第二原子力発電所には,日本政府および東京電力からの要請を受けて,100人以上の技術者を派遣した。技術的な支援と検討をしている。今後も状況に応じて順次増強していくとする。米国の原子力関連企業からも,東芝に対して原子力発電所の安全確保に向けた支援の申し出があり,具体的に協議していると言う。申し出ているのは,グループ会社の米Westinghouse Electric Co. LLC,改良型加圧水型原子炉(APWR)供給でパートナーの米Shaw Group Inc.,大手原子力関連機器メーカーの米Babcock & Wilcox Co.(B&W)などである。

 次に東北・関東地域における電力供給不足の解消に向けては,本社に150人から成る対策チームを設置した。電力会社の要請に基づき,被災設備の早期復旧や定期検査・休止中の火力発電所の早期再開に向けた支援に取り組む。早期復旧では,被災した東京電力や東北電力の火力発電所,変電所,開閉所などの早期復旧に向けて,技術員の派遣や部品・修理品の納期短縮などを実施する。火力発電所の早期再開では,技術員の派遣や部品・修理品の納期短縮を通じて定期検査中の火力発電所における運転再開の前倒しに協力するとともに,休止中の火力発電所の運転再開に向けた支援などを実施していく。このために,電力システムの基幹4事業場(京浜事業所,府中事業所,浜川崎工場,三重工場)生産能力を最大限に発揮させ,関連機器の生産と供給を進める(発表資料)。