レグザZ2シリーズの最上位機種である「47Z2」
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複数フレームを利用した超解像技術を説明するスライド
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 東芝は2011年3月2日,新開発の映像処理システム「レグザエンジンCEVO」を初めて搭載した液晶テレビ「レグザZ2シリーズ」を発表した。CEVOは,ハイエンド・テレビ「CELL REGZA」が汎用プロセサ「Cell Broadband Engine」とソフトウエアで実現していた高機能な画質処理をLSIに落し込み,必要なソフトウエアを組み合わせたもの(新型LSIの詳細記事)。同社は,ドイツで開催された展示会「IFA2010」と米国で開催された展示会「2011 International CES」でCEVOの開発意向を表明していた(Tech-On!の関連記事1同2)。CELL REGZAではソフトウエアで実現していた処理をハードウエア化することで,部分的にはCELL REGZAをしのぐ機能を実現した。

 47型の「47Z2」(想定価格32万円前後),42型の「42Z2」(同25万円前後),37型の「37Z2」(同20万円前後)を用意する。発売日はいずれも2011年3月25日。なお,この製品は3D表示には対応していないが,3D対応製品の開発も進めているという。

 Z2シリーズの特徴は以下の通りである。

【高画質機能】
 複数フレームを利用した超解像技術を初めて搭載した。「CELL REGZAにもない技術」(本村氏)だという。従来の超解像技術では1枚の表示フレーム単体で処理を行っていたが,Z2シリーズでは表示フレームに過去のフレーム2枚と未来のフレーム1枚を加えた計4枚の情報を利用する。これにより,より高精度に元の映像を復元できるようになった。

 複数フレームによる超解像にはノイズ・リダクション(NR)の効果もある。「這い回るようなノイズの除去に特に有効」(同社)だという。また,従来はメイン処理の後段にあったNR処理回路をメイン処理の前段に移動した。これらにより,高品質なノイズ除去を実現している。

【色再現性】
 デジタル放送の送信時に1/4に圧縮される色の情報量を復元する色の超解像技術を搭載した。新開発のカラー・フィルタや蛍光体も搭載。これにより99%の色再現性(ITU-R BT.709)を実現した。

【コントラストの改善】
 光漏れする液晶分子を減らしたIPS方式の新型液晶パネルを搭載することで,コントラストを従来比で45%(47型と37型の場合。42型では23%)向上させた。また,画面を16分割(37型では10分割)し,それぞれのエリアでLEDバックライトを制御する機能を搭載した。

【動画応答性の向上】
 液晶パネルは2倍速(120Hz)表示に対応。CEVOエンジンが生成する補間フレームを,映像ソースに合わせて適宜挿入する。また,Z1シリーズでは上下に位置していたLEDバックライトを両サイドに移動することで,8分割のバックライトスキャンが可能になった。画面を上下に8分割(32型では5分割)し,上のエリアから順番に短時間消灯する動作を高速に繰り返す。液晶の応答速度が間に合わない時間にバックライトを消灯することで,動きが速い映像の残像を低減できる。

Appsコネクトにも対応

【操作性の向上】
 番組表の応答を高速化した。従来は番組表の起動に約1.8秒かかっていたが,これを約0.3秒に短縮した。番組表全体のページ切り替えは,従来の約1.5秒から約0.3秒に短縮した。性能が向上した新型LSIに加え,10ms単位で行ったソフトウエアのチューニングも寄与しているという。

 3Dアニメーションを利用した「レグザメニュー」というユーザー・インタフェースも用意。手元のリモコンのボタンを見なくても画面表示で操作を行える。これも新型LSIの恩恵でスムーズに動作するという。

【録画機能】
 USBハードディスクを最大4台接続して番組を録画できる。2Tバイトのハードディスクを4台接続した場合,地上デジタル放送の番組を約1004時間録画できる。

 チューナーを3個搭載しており,番組視聴中に二つの裏番組を同時に録画できる。チャプター分割も,二つの裏番組で同時にできるようになった。従来製品のZ1は一つの裏番組しかチャプター分割できなかった。

【ネットワーク機能】
 インターネットを利用したテレビやレコーダー向けのサービス「レグザAppsコネクト」にも対応した(Tech-On!の関連記事)。iPhone向けアプリの「RZタグラー」や「RZコマンダー」でZ2を操作できる。これまでは,Appsコネクトに対応したテレビはCELL REGZAしかなかった。

 ネットワーク・サービスとしては,新たにYouTubeを視聴できるようになった。アクトビラ,Yahoo!,T's TV,TSUTAYA TV,ひかりTVといったサービスも従来から引き続き利用できる。

【ゲーム対応】
 リアルタイム・ゲームで問題になる遅延時間を,Z1の約19.3ms(約1.2フレーム)から約11.9ms(約0.7フレーム)に短縮した。また,PSPなどの携帯型ゲーム機の画面を大画面で映すこともできる。

【デザインなど】
 アルミダイキャスト製の新型スタンドを採用。スタンドを除く奥行きは47型で29mmであり,47型以上の国内向け地デジ液晶テレビでは最薄を実現した。前面キャビネットには帯電防止素材を採用し,ホコリが付きにくくした。年間の消費電力量は47型で116kWhであり,47型以上の国内向け地デジ液晶テレビでは1番の省エネ性能だという。