設立10周年を迎えたオープン・フィールド・ネットワーク「CC-Link」の普及団体である「CC-Link協会(CLPA)」。協会設立時は会員数が134社だったものの、現在はその数が10倍以上になり、2010年度末には1500社を狙うまでに普及している。日本発のネットワークながら、会員の海外比率は約6割。ISOやIECの国際標準も取得しており、グローバルスタンダードとして根付いている。

 今後の同協会が普及促進に力を特に入れていくのが中国をはじめとするアジアだ。これから自動化が一層進んでいくと考えられるアジアは非常に重要な市場。その中国のCC-Link協会(CLPA-China)で中国主席代表を勤めるQin Qiang氏に中国のFA業界の動向や同協会の今後の活動計画などについて聞いた。(聞き手は木村知史=Tech-On!)

――中国のフィールド・ネットワーク業界の動きを教えてください。

Qin Qiang氏
CC-Link協会 中国主席代表 Qin Qiang氏

 今年日本を抜いてGDPが世界第二位となった中国では、今後も当面毎年2桁以上の成長が見込まれ、各産業の増産傾向も継続すると見込まれます。しかしその一方で、人件費の高騰、CO2削減などの環境対策、非効率生産などの課題も顕在化してきております。このような状況の下で、製造業を中心とした生産現場での更なる自動化、省人/省エネ化、生産現場でのネットワーク化へのニーズがますます高まっています。世界において競争力があり、またアジアにおいて?1のフィールド・ネットワークであるCC-Link採用の動きも、非常に増加してきています。

 特に主要産業のひとつである自動車業界では、中国国内に約120社以上がひしめいており、日米欧韓メーカーと提携しながら、環境対応車を中心とした生産技術のキャッチアップを進めています。こうした環境対応車(EV/HV)で先行する日本メーカーを中心に、韓国、アジア、欧米の世界有力メーカーへの採用実績があり、仕様/性能面でも非常に高い評価をもらっているCC-Linkに対し、中国のローカル自動車メーカーからの注目度も上がってきています。自動車以外の産業でも同様に自動化、ネットワーク化が急激に進んでおり、CC-Linkはタイヤ、サニタリー、ベアリング、繊維、食品、印刷、プラスティック、公共関連施設などの業界への採用も年々急増してきています。

――協会では、特にフォーカスしている業界はあるのでしょうか。

 先ほども述べたように、自動車メーカーは今後も継続伸長していくものと考えられるため、特に中国のローカル自動車メーカーを中心に積極的に訴求力を上げていきます。中国自動車メーカーの多くは環境対応車の開発/生産を急いでおり、これに先行する日本メーカーでの採用実績を武器に、CC-Linkの優位性、操作性、安定性、効率性などを訴求し、有力自動車メーカーへの普及を加速していきます。更に、自動車以外の業界に対しても、有力なSI(システム・インテグレーター)と連携しながら、計装システムでのスペックインを図り、既に納入実績が高い上記業界に対しても更なる採用実績拡大を進めます。

――具体的にはどのような活動を行っていくのでしょう。

 中国市場での存在感をさらに高めるために、次のような七つの活動を具体的には考えています。
(1)中国市場でのCC-Link接続機器の拡大
(2)中国自動車業界への採用促進
(3)大型の展示会への出展、および地域都市でのプライベートな展示会の開催によるブランド力の向上
(4)今年で10年目を迎えるCLPA-Chinaの記念式典の開催
(5)パートナーの販売ルートを活用したCC-Linkの普及活動
(6)政府関係、学会、業界団体との関係強化
(7)CC-Linkの採用ユーザーへのキャンペーン展開

――今後、中国ではどのようなソリューションが求められるのでしょう。

 前述のとおり、生産現場での自動化、省人/省エネ化、生産現場でのネットワーク化はますます進むと考えられます。このため、工場システム全体を俯瞰した、見える化、情報のシームレス化、低コスト化、安定・効率稼動、信頼性向上などを実現することが重要になってきます。こうしたキーワードに対して、CC-Linkをグローバルに展開した実績のある接続機器メーカーやCC-Linkのパートナーとの有機的連携によって、個々のユーザーに適合したソリューション提案をしていくつもりです。