LED照明の市場がいよいよ拡大期を迎えようとしている。2010年の国内市場規模は2009年に比べて倍増したとの調査結果も出ている。LED照明市場は一般照明分野で2012年以降の伸張が大きくなるとの見方もあり,普及はこれからがいよいよ本番というところだ。

 こうした状況の中,照明器具メーカーはLED照明事業に力を入れている。Green Device Magazineでは今回,LED照明事業を強力に推し進めている遠藤照明の海外部 部長代行の高森善夫氏に,LED照明事業の概況や同社製品の特徴,LED照明に対する顧客の反応などについて聞いた。(聞き手は大久保 聡=日経エレクトロニクス,Green Device Magazine)

――遠藤照明におけるLED照明事業の概況を知りたい。

高森氏 現在,LED照明器具の品種数はおおよそ2000アイテムを取りそろえている。半年ごとに製品カタログを更新しており,今年の春にも新製品を盛り込んだ新しいカタログを出す予定だ。製品バリエーションは,業界トップだと考えている。LED照明器具は製品競争が激しくなってきており,我々は新しい製品を次々に出していくことで他社と差異化を図る戦略を採っている。

 当社の照明器具事業のうち,LED照明器具が台数ベースで全体の30%に達した。これは直近の値であり,今後1~2年で全体の50%を超えてくるだろう。国内はもちろんのこと,海外展開にも力を入れている。海外市場では,LED照明器具以外は販売しない考えだ。海外では,まずは欧州市場での製品展開に注力し,その後に中国市場やインド市場などで展開していきたい。欧州市場は国内と同様,照明器具の意匠や光の質への要求水準が高く,我々の製品の特徴を生かせる。

遠藤照明の本社にあるショールームの様子。衣料品の店舗を模した,照明のデモンストレーション。左側が既存光源による照明,右側が同社のLED照明「LEDZ」によるもの。
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壁面を照らす照明の照射部を見ると,既存照明は広がりが大きく,LED照明は狭いといった違いが見える(青い点線内を比較)。広がりの好みは,デザイナーによって異なるという。
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衣料品の生地の色が,照明によって変色するかどうかを比較した様子。左側が既存光源によるもの。赤色のTシャツにオレンジ色のTシャツを重ねた状態で照明を長時間当て,その後にオレンジ色のTシャツをずらすと,重なっていた箇所と重なっていない箇所の赤色の色が異なることが分かる(青い点線内を比較)。右側がLEDによるもの。同様の手順でLED照明の光を照らしたところ,赤色の変色は見られなかった。
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