開発したバーチャル・スマートフォンで,Google mapを操作。
開発したバーチャル・スマートフォンで,Google mapを操作。
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システムの全体像
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 日本電信電話(NTT)は,2011年2月22~23日に開催中の「NTT R&Dフォーラム2011」(NTT武蔵野研究開発センタ)で,「バーチャル・スマートフォン」を開発し,実演した。スマートフォンをシンクライアント技術で作る技術で,技術的には「Android端末」と「iPhone」を1台の端末で適宜切り替えて使うことも可能だという。

 開発した試作端末は,Android端末に独自のシンクライアント用ソフトウエアを実装したもの。シンクライアントとは,OSやその上で動作するソフトウエアをすべてサーバー側で動作させ,画面情報だけを端末に送って表示する技術やシステムのことである。

 このシステムでも,Android OSは,クラウドを形成するサーバー上で動作し,端末にはその画面情報だけが送られてくる。端末自身で重い演算をすることがなくなるため,端末の使い勝手が,プロセサの性能やメモリの大きさに左右されにくくなるというメリットがある。通信は頻繁にすることになるが,画面データは差分情報だけがサーバーから送られてくるため,結果としては端末の消費電力も減る傾向になるという。

 これだけであれば,従来のシンクライアント端末が小型になっただけだが,今回はスマートフォンのタッチ・センサや方位センサ,GPSなどのセンサ機能を端末側に残した。これらのセンサ群が検知した情報はリアルタイムにサーバー側に送信されるため,既存のスマートフォンと同じ使い勝手で画面の操作や位置情報の利用が可能であるとする。

 また今回は「仮想SD」という仮想的なメモリ・カード機能も端末に実装した。端末で写真を撮ると,そのデータは実際にはリアルタイムにサーバーに転送されて記録されるが,ユーザーはあたかも端末のSDカードに保存されているようにそれらの写真データを使えるという。

 技術的には,サーバー側で動作するOSを好きなようにカスタマイズできるため,気分に応じて1台の端末をAndroid端末から,iPhone風端末やWindows Mobile風端末に切り替えることもできるという。ただし,「現時点では,ライセンスの関係でそうした実装はしていない」(説明員)。