写真1 FLEXの外観
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写真2 Flexを胸ポケットに装着したところ
写真2 Flexを胸ポケットに装着したところ
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 米国IOTA社がスペイン・バルセロナで開催中の「Mobile World Congress 2011」(2011年2月14日~17日)の,米Visa社のブースにおいてユーザー・インタフェースを全く持たない風変わりな携帯電話機「FLEX」を展示している。移動体通信方式として850/900/1800/1900MHzに対応したGSM/GPRS通信機能を備えるほか,BluetoothとNFCの通信機能を持つ。この端末の操作や通話はBluetoothで連携したハンドセットやタブレット端末,スマートフォンなどから行う。2011年4月から販売を計画している。価格は「50~100米ドル程度を考えている」(説明員)という。

 FLEXの狙いは,常に複数の機器を持ち運ばなくても済むようにすること。現在,タブレット端末やスマートフォン,従来型の携帯電話機など,SIMカードを搭載する機器が増えている。ところが,どの機器でも電話を着信できるように,ユーザーはこうした端末を全部抱えて移動する必要がある。FLEXを一つ持ち運ぶことで,車の中であればカーナビゲーション・システム,自宅であればテレビ,屋外ではスマートフォンやヘッドセットという具合に通話機器を自在に変えられる。「どんな状況にあってもワン・ナンバーで通話コミュニケーションを実現できるようになる」(説明員)わけだ。

 ビジネス・モデルとして面白いのは,NFCの通信機能を搭載し,これを使ってクレジット・カードの決済,各種サービスの認証,クーポンの収集,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のためのユーザー情報交換,交通の乗車券などをすることを考えているところ。「ユーザーは財布やクーポン券,名刺などを持ち歩かなくても済むようになる」(説明員)。既に,銀行や携帯電話事業者,SNSサービス事業者と交渉を始めているという。なお,端末のソフトウエア・プラットフォームとしてAndroid 1.5または2.0系のものを利用している。アプリケーション・ソフトウエアはサービス事業者や携帯電話事業者などのパートナーが作成し組み込む。ユーザーがアプリを追加できるようにすることは,考えていないという。