図1 展示の様子。CMOSで製造したRF回路で無線LANによる通信を行う様子を見せていた
図1 展示の様子。CMOSで製造したRF回路で無線LANによる通信を行う様子を見せていた
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図2 RF回路を含むシステム全体の1チップ化を想定する
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図3 32nm世代のCMOS技術で製造したパワー・アンプの拡大図
図3 32nm世代のCMOS技術で製造したパワー・アンプの拡大図
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図4 無線LAN用など,各種の無線通信方式のRF回路を試作した
図4 無線LAN用など,各種の無線通信方式のRF回路を試作した
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 米Intel Corp.は「Mobile World Congress 2011」(2011年2月14~17日,スペイン・バルセロナ)において,パワー・アンプやLNA(低雑音増幅回路),RFスイッチなどのRF回路をSi CMOS技術で製造する研究の成果を公表した。32nm世代のCMOS技術でRF回路を製造し,そのチップを使って通信する様子を見せた。移動体通信にも適用可能とする。

 Intel社の研究は,ベースバンド処理プロセサ,RFトランシーバIC,フロントエンド・モジュールという3チップ構成になることが一般的な無線通信用回路を,1チップに統合することを目指したものである。今回の大きな成果は,Intel社が現在出荷中のパソコン向けマイクロプロセサと同じ,32nmという先端のプロセス技術に適用できたことだったという。「アプリケーション・プロセサからフロントエンド・モジュールまでを含む,無線通信向けの完全なSoCの実現に近づいた」(Intel社)とする。今回の研究成果は,22nm世代のプロセス技術にも適用できる見込みである。

 現在は各種の無線通信方式のRF回路を試作して,その動作を検証している段階。実用化の時期は決まっていない。「60GHz程度の周波数帯以下であれば,特に通信方式の制限はない。移動通信方式などにも適用可能だ。ただし,必要な送信電力に合わせてパワー・アンプの設計を変えるといった作業は必要になる」(同社)とする。今回の展示では,2.3~2.8GHz帯を想定して設計したチップを使って無線LANで通信する様子を見せていた。