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高い水蒸気バリア性を備えた薄型・透明のフレキシブル・フィルム,KISCOが販売開始

シンガポールの材料ベンチャーが開発

2011/01/24 16:43
佐伯 真也=日経エレクトロニクス
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図1 開発品の構造(右)と他社品の構造(左)の比較(KISCOのデータ)
図1 開発品の構造(右)と他社品の構造(左)の比較(KISCOのデータ)
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図2 想定する用途(KISCOのデータ)
図2 想定する用途(KISCOのデータ)
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図3 試験セルによる輝度の評価結果(KISCOのデータ)
図3 試験セルによる輝度の評価結果(KISCOのデータ)
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図4 試験セルによる曲げ試験の評価結果(KISCOのデータ)
図4 試験セルによる曲げ試験の評価結果(KISCOのデータ)
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 電子材料専門商社であるKISCOは,シンガポールで材料開発を手掛けるベンチャー企業のTera-Barrier Films Pte. Ltd.(TBF社)と業務提携し,TBF社が開発した透明フレキシブル・フィルムの販売を開始すると発表した。今回の業務提携により,KISCOは開発品のマーケティング活動に対して出資するほか,アジアでの総代理店契約を保有する。基板として利用することで,軽く・薄く・曲げられる有機ELディスプレイや電子ペーパー,有機EL照明,太陽電池などを実現できるとする。

 TBF社の開発した透明フレキシブル・フィルムは,無機層とナノ粒子を分散させた有機層の層状構造を採る。このナノ粒子が,水分子と反応してフィルム内部に水分子を閉じ込める機能と,無機層に生じるクラックを穴埋めする機能を担う。ナノ粒子の組成や添加量については「非公開」(KISCO)とした。

 こうした構造により,無機層と有機層がそれぞれ2層積層した厚さ数μmのフィルムで,気温60℃,湿度90%の条件下における水蒸気透過性が1日当たり10−6g/m2を実現したとする。他社の一般的な透明フレキシブル・フィルムでは,「無機層に生じたクラックから水分が内部に侵入してしまうため,無機層と有機層を3〜4層ずつ積層していた」(KISCO)という。

 KISCOとTBF社は,開発品を用いた有機EL素子による試験結果も示した。まず,12mm角の試験セルを作製し,輝度の経時変化を確認したところ,600時間後で初期の88%の輝度を維持したという。さらに,50mm角の試作セルを,半径25mmで1万回曲げた前後でも輝度変化は見られなかったという。なお,透明電極であるITOを含めた透過率は,可視光領域(400nm〜800nm)で85%以上である。

 TBF社は,開発品をロール・ツー・ロールで製造する技術を開発した。これにより,「1分間で300mの成膜が可能」(同社)という。米国とドイツにある製造メーカーに委託し,月産300m2で出荷を開始する。今後TBF社は,シンガポールに自社のパイロット・ラインの建築を計画しており,2012年1月までに月産5万m2に高めるとする。さらに,2013年には量産ラインを建設し,250万m2の規模にしていく計画という。

 なお,TBF社はシンガポール科学技術開発庁傘下の材料工学研究所であるInstitute of Materials Research and Engineering (IMRE)から2009年6月にスピンオフして誕生した。KISCOは,IMREで開発が進んでいた2009年3月に,同技術を国内の展示会で披露していた(Tech-On!の関連記事)。

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