研究開発体制の変化 日立のデータ。
研究開発体制の変化 日立のデータ。
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 日立製作所は,2011年4月1日付で,社会イノベーション事業によるグローバルな成長に向けて,四半世紀ぶりに研究開発体制を刷新すると発表した(ニュース・リリース)。国内研究所を3研究所に再編・強化しつつ,海外現地主導研究を拡大する。

 海外研究拠点は,現地のニーズに即した研究開発を強化するために,インドに新たな研究開発拠点を新設する。2012年度中に海外の研究開発人員を現在の約150名から倍増することで,中国・欧州・米州・アジアの海外4極を中心としたグローバル研究開発体制の構築を加速するという。

 また,国内研究所は,社会イノベーション事業を先導する骨太・融合研究を強化し,次の100年に向けた日立の土台作りを担う研究体制を目指す。このため,現在6つあるコーポレート研究所と2つのディビジョン研究所を,3研究所に再編する。(1)基礎から応用までシームレスな研究を担う中央研究所,(2)社会インフラを中心とした社会イノベーション事業を支える日立研究所,(3)情報基盤技術およびモノづくり技術の研究開発を行う横浜研究所である。さらに研究開発本部内に,日立グループ全体の技術戦略を統括し,事業戦略と連動した中長期の技術開発計画を策定する技術戦略室を新設する。

1985年に現在の体制を確立

 発表によれば日立は,1910年の創業以来,「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念の下に事業拡大を図るとともに,それを支える研究開発に積極的に取り組んできたという。1934年に日立研究所を設立,1942年には中央研究所設立した。それ以降も事業領域の拡大・変遷に合わせて,研究所の新設・再編を進め,1985年までに6コーポレート研究所体制を構築した。

 2010年には創業100周年を迎え,さらに次の100年に向けて、社会イノベーション事業を軸としてグローバル市場における成長を実現するべく,その取り組みを加速しているという。今回の研究開発体制の刷新により,海外現地主導の研究を拡大するとともに,世界に先端技術を発信する国内研究所の役割を強化し,社会イノベーション事業を支える技術開発の加速と研究開発効率の向上を図るとする。