図1 スイッチ機器。試作品のため,まだ大きい
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図2 スマートフォンをリモコン代わりに利用
図2 スマートフォンをリモコン代わりに利用
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図3 HDBaseTから供給される電力だけで大型液晶テレビを駆動
図3 HDBaseTから供給される電力だけで大型液晶テレビを駆動
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 イスラエルのファブレス企業であるValens Semiconductor社は,AV機器間を接続する有線インタフェース規格「HDBaseT」による動作実演を,CES会場付近のホテルで披露した。同インタフェースは,2010年に1.0仕様が策定されたばかりの新しい規格(Tech-On!関連記事)。既に業務用機器へ採用されている。一方,今回の展示では,家庭内ネットワークでの利用を想定した動作実演を行った。

 HDBaseTの特徴は,既存のEthernetケーブル一本で非圧縮のHD映像と音声,電力供給などを行える点である。HDBaseTで接続した機器同士でコンテンツを共有できる。例えば,一台のパソコンから,HDBaseTで接続した複数台のモニター(シンク機器)に映像を出力できる。あるいは,Blu-ray Discプレーヤーやゲーム機といった複数のソース機器をスイッチ機器に接続し,このスイッチ機器にテレビを接続すれば,テレビにBDプレーヤーやゲーム機の映像を切り替えてテレビに表示できる。
 
 会場では試作したスイッチ機器に,ソース機器としてノート・パソコンとBDプレーヤー,そしてPS3を,シンク機器として3台の薄型テレビを接続して動作実演を披露した(図1)。このスイッチ機器と無線LANを通じて接続しているスマートフォンを使い,3台のテレビに表示する映像データを切り替えてみせた(図2)。

100Wの電力供給が可能に


 このほか,供給電力を最大100Wにまで向上させる計画を明らかにした。現在では,供給できる最大電力は30Wほど。これを3倍以上に引き上げる。これにより,「ほとんどの40~50型のテレビを駆動できる」(説明員)とみる。

つまり,Ethernetケーブル一本で,テレビへの映像データの伝送と駆動が可能になる。近々,この電力供給技術の詳細について,HDBaseTのアライアンスが発表する予定である。会場では実際にこの技術を利用し,大型液晶テレビを駆動して見せた(図3)。

 なお,アライアンスにはValens社のほか,韓国LG Electronics社や韓国Samsung Electronics社,米Sony Pictures Entertainment社が参加する。