実演の様子
実演の様子
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 伊仏合弁のSTMicroelectronics社は,デジタル・インタフェース規格「DisplayPort」の小型の携帯機器での利用を想定した伝送システムを,CES会場付近のホテルで展示した。最大の特徴は,5端子のmicroUSBコネクタで,DisplayPort対応の映像信号の伝送と,給電ができることである。例えば,microUSBコネクタを備えたスマートフォンと,DisplayPort端子を備えたモニターと接続する用途を想定する。同システムは,microUSBのコネクタとケーブルを流用できるという利点がある。microUSBのコネクタを流用することや給電能力を備えることなど,米Silicon Image社や携帯電話機メーカーが主導するデジタル・インタフェース「MHL」に類似している。

 microUSBの5端子のうち,2端子を映像信号の差動伝送に利用する。最大データ伝送速度は,DisplayPortの映像信号用の1対伝送路(1レーン)と同じ5.4Gビット/秒である。これにより,1080pで60フレーム/秒のHD動画を非圧縮で伝送できる。

 給電用に1端子,グラウンド(GND)用に1端子用いる。現在1.5W前後の給電能力を備えるようだ。そして残る1端子で,DisplayPortの補助チャネル「AUX」のデータ送受信と,ホット・プラグ・ディテクト(HPD)を行うという。

 実際にこうしたシステムを携帯機器で実現するには,AUXのデータとHPDを1端子で実行できるようにするためのマルチプレクサと,アプリケーション・プロセサから出力される映像信号データをDisplayPort対応の映像信号に変換するブリッジICなどが必要となる。今回の展示では,マルチプレクサの機能は複数のチップで実現し,ブリッジICの機能はFPGAで実現した。