写真は4K×2K液晶パネルを使った56型の裸眼3Dテレビ。雑音(ノイズ)やムラは多いが,裸眼3Dテレビとしては視差ジャンプが少なく,3D映像の専門家も評価していた。
写真は4K×2K液晶パネルを使った56型の裸眼3Dテレビ。雑音(ノイズ)やムラは多いが,裸眼3Dテレビとしては視差ジャンプが少なく,3D映像の専門家も評価していた。
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 「東芝さんに刺激されたんです。ものすごく開発陣が燃えましてね。CESの直前は,技術者は徹夜に次ぐ徹夜でした」と関係者が明かした。

 ソニーは,液晶シャッタ・メガネ方式でフルHDの3D(3次元)テレビを展開している。言うまでもなく,裸眼式3Dは液晶シャッタ方式の“敵”である。「せっかく3Dをフィールド・シーケンシャル方式でスタートさせているのに,裸眼3Dなど,その商売の邪魔」と,ソニー社内では言われていた。

 しかし,東芝の「グラスレス3D」の登場で事態は一変した。ソニー社内では,「2011 International CES」(2011年1月6~9日,米国ラスベガス)で裸眼3Dディスプレイを展示するかについて侃々諤々(かんかんがくがく)の議論があったが,「これは絶対にやらないと『3Dのソニー』の名が廃る……」という判断となった。

 ソニーが開催した記者会見では「56型,4K×2K液晶パネル」「46型,2K×1K液晶パネル」「24.5型,2K×1K有機ELパネル」の3種類の裸眼3Dテレビの開発が発表された。発売はいずれも未定。東芝はまんまとソニーを引きずり込んだ形である。ソニーは東芝の挑発に乗ったわけだ。ただ,CESの展示でのハイライトではないのも事実。“未来系”にソニーが取り組んでいることが分かったのは,良かった。裸眼3Dに名乗りを上げていないパナソニックの今後も注目される。

■変更履歴
記事掲載当初,「侃々諤々」の読みが誤っておりました。正しくは「かんかんがくがく」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。