写真は東芝の報道資料
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 東芝の大型裸眼3Dテレビ(40型以上)が画期的なのは,「2Dの高画質」と「裸眼3D」を1台で両立させたことである。2Dモードで見る時には4K×2Kの解像度のテレビになる,というのがセールス・ポイントだ。

 裸眼3Dを実現するためにレンチキュラ・レンズをディスプレイの前面に貼ると,3次元(3D)映像を見る場合は問題ないが,2次元(2D)映像を見るときには一種の“フィルタ効果”が出てしまう。大型の裸眼3Dディスプレイでは2D映像を見る機会が多くなると考えられるため,この問題は看過できない。東芝はそれを,ディスプレイの高精細化と機能型レンチキュラ・フィルタの導入によって対応した。

 主役は2Dの4K×2K映像だ。2010年は「3Dテレビ元年」だったが,2011年は「4K×2Kテレビ元年」にしたい,というのが東芝の意向である。東芝は既に2009年1月の「International CES」で「2009年秋に米国市場で60型以上の4K×2Kテレビを発売する予定」としていた。しかし,その後,突然3Dテレビがトレンドになり,スケジュールが2011年まで延びることになる。つまり,東芝にとって“4K×2K進出”は規定路線であった。スケジュールが延びたおかげで,その間のトレンド,つまり3Dも採り入れることができた。それもメガネ式ではなく,インテグラル方式の裸眼3Dテレビだ。

 ここで,画期的なことは3つある。

 (1)画素数4K×2Kを2Dモードではそのまま表示し,3Dモードでは複数視点映像を形成するリソースとして使う。視点数は今回の発表では明らかにしていないが,視点数の分だけ解像度が低下するため高画素数は必須である。フルHDでの超解像はリアルタイム処理だったが,4K×2Kへの超解像は複数フレーム処理することが明らかにされた。そのため,論理的には時間の遅延は発生すると思われる。

 (2)レンチキュラ効果のオン/オフができる。液晶レンズのようなアクティブ・フィルタにより,3Dモードではレンチキュラとして,2Dモードでは単なる透明板として働く。以前の「CEATEC JAPAN」において,東芝がパソコン用の裸眼3Dで,レンチキュラ効果を制御するディスプレイを展示していたが,同類の技術と思われる。

 (3)画像エンジン。これまで裸眼3D用の視点生成や4K×2Kへの超解像処理はCELLを使ってソフトウエアで行ってきたが,今後はハードウエア処理に変更する。それがCEVO(シーボ)エンジンである(Tech-On!関連記事)。CELLと同等の性能(画質,ネットワーク)を,普及価格帯のテレビにも展開していくことが狙いだ。CEVOとは「CELL Evolutional」を簡略化した言葉である。最初に2010年9月の「IFA」で披露した時に,東芝ドイツ法人のマーケティング責任者である東芝ヨーロッパ社 コンシューマービジュアルプロダクツ マーケティング部長のSascha Lange氏が発案した。Lange氏は「ヨーロッパ向けに作った言葉が全世界で使ってもらえるとは,感激」と語っていた。