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三菱電機、ロボットによる自動化を推進した福山製作所を報道機関向けに公開

2010/12/20 19:15
高野 敦=日経ものづくり
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自動化の取り組みを説明する三菱電機福山製作所所長の吉永徹氏
自動化の取り組みを説明する三菱電機福山製作所所長の吉永徹氏
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(1)〜(3)のユニットを組み付けるラインの全景。写真は三菱電機があらかじめ撮影したもの。当日の撮影は許可されなかった。(以下同じ)
(1)〜(3)のユニットを組み付けるラインの全景。写真は三菱電機があらかじめ撮影したもの。当日の撮影は許可されなかった。(以下同じ)
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(1)〜(3)のユニットを組み付けるラインの細部
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開閉機構ユニットを造るロボットセルの全景
開閉機構ユニットを造るロボットセルの全景
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ロボットセルの細部
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 三菱電機は2010年12月20日、同社の福山製作所に構築した配線用遮断器の自動組立ラインを報道機関向けに公開した。同ラインは、ほぼ全ての工程をロボットによって自動化したもので、2011年1月の本格稼働に向けて最終的な調整を進めている(Tech-On!の関連記事)。自動化によって生産能力や生産性を高め、国内外への供給拠点としての役割を強化する。

国内外に輸出

 福山製作所は、同社における遮断器の主力生産拠点。同社の国内シェアは約50%と高く、そのほとんどを同製作所で造っている。生産量が多いため、コスト競争力が高く、海外への輸出も行っている。中国・大連にも遮断器の工場を構えているが、大連工場の生産品目は中国向けの小型製品など一部にとどまっており、生産額も福山製作所に比べるとそれほど多くない。今後についても、当面は福山製作所が主力であり続けるという。

 ただし、その地位は決して安泰ではない。今後市場規模が拡大する中国、インド、東南アジアなどでは低価格品の需要が増えるほか、先進国市場でも価格に対する要求が厳しくなるため、生産性を一層高める必要があるのだ。拡大する需要を取り込みつつも生産性を高めるための手段、それが組立工程の自働化だ。2010年1月に発売した新製品「WS-V」シリーズは、組立工程の自動化を前提とした設計をあらかじめ採用しており、実際に自動化されたラインでの製造がまさに始まろうとしているところだ。

 遮断器は主に、次の3つのユニットから成る。
(1)開閉機構ユニット
(2)可動子ユニット
(3)クロスバー・ユニット

 (1)は、オン/オフの操作を手動で行ったり、過電流などが流れた場合に自動で接点の切り離し(開極)を行ったりするための機構で、遮断器で最も重要な機能ユニットである。(2)は、(1)の動作を受けて可動する端子で、機種によっては複数(具体的には遮断器に接続可能な配線数と同じ)ある。(3)は、(1)の動作を複数の(2)に伝達するための機構である。遮断器の組立工程は、大まかには(1)〜(3)を組み付けていくというものだ。

複雑な構造が壁に

 従来、福山製作所では(1)〜(3)を組み付ける工程は自動化できていたが、要のユニットである(1)自体を造る工程だけは自動化できていなかった。(1)の開閉機構ユニットを造る工程は外部の企業に委託していたため、全体の製造リードタイムのほとんどを占めている状況だった。具体的には、全体の製造リードタイムが5日なのに対し、開閉機構のリードタイム(部品を外注先に送ってからユニットになって返ってくるまでの期間)は4日だ。同製作所では、顧客に対しては即日の出荷を行っているため、工場内に製品在庫を抱える原因になっていた。

 開閉機構ユニットを造る工程を自動化できなかったのは、ユニットの構造が非常に複雑だからである。組み立てを自動化する場合、同じ方向に部品を次々と積層していくような工程が理想的だ。しかし、開閉機構ユニットはU字形の部品が複数あり、それらの部品をさまざまな向きから組み付ける構造であるため、自動化が難しかった。

 そこで新製品のWS-Vシリーズでは、一部部品の形状を変更するなど自動化しやすい設計を採用(Tech-On!の続報記事)。これによって、垂直6軸ロボット2台を用いたロボットセルでの組み立てが可能になった。具体的には、パレット上に開閉機構ユニットの部品(全13個)を載せて、パレットをロボットセルに供給すると、自動で組み立てる。パレットへの部品の配置とパレット自体の供給は人手で行っているが、それ以外の工程は自動化している。これにより、開閉機構ユニットの組立時間を30〜40秒と、人手で組み立てていた際の1/3に縮めた。将来は、ロボットセルではなくロボットラインで製造することを目指すという。

よりきめ細かい管理が可能に

 2次元コード(QRコード)を用いた個品管理により、組立ライン全体の柔軟性を高めたことも特徴だ。従来はロット単位(1ロットは20〜1000個ぐらい)での管理だったため、生産品目を入れ替える際にはライン上の仕掛かり品を全て流しきる必要があり、段取り替えに6分ほどかかっていた。従って、1日に生産できる品目は、段取り替えロスを考えると15種類が限界だった。個品管理によって、段取り替え時間はほぼゼロになったため、新ラインでは1日の生産品目を40種類まで増やすことが可能になったという。フレキシブルな製造を行うための多段式のパレット・チェンジャーも新たに開発した。

 この個品管理に加え、製造設備ごとにPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)を設置することにより、品質やエネルギ使用量などについてもきめ細かく把握できるようになった。品質については、計測値のばら付きの動向を管理することで異常や不良品の早期発見につなげたり、設備が止まった回数や原因の記録を基に素早く改善策を作成したりできる。福山製作所はもともと、計測器などの省エネ機器を製造していることもあり、環境対策のモデル工場という位置付けだったが、今後はそこにFAの最先端技術も融合させたモデル工場「e&eco-F@ctory」として、顧客などにも積極的に公開していくという。

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