新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2010年12月15日に、NEDOが研究開発費を“委託”として提供する産学官連携プロジェクトでの知的財産マネジメントの基本方針を策定し公表した。その基本方針は、NEDOが委託する産学官連携プロジェクトは、“国民経済への成果”を最大化するための知的財産マネジメントを実施することを求めるものである。NEDOは“成果”を「アウトカム」と表現し、“国民経済への成果”とは日本の産業競争力を強化し、新しい成長産業を育成し、雇用を拡大することを意味するという。

 今回、NEDOの総務企画部と技術開発推進部が策定した知的財産マネジメントの基本方針の骨子は以下の5点である。(1)公募を受けてプロジェクトを企画する際に、知的財産マネジメントを含む基本計画を立案する。同時にプロジェクトに対する中間評価時や終了評価時には知的財産マネジメントを実施した成果を考慮して評価する、(2)NEDOからプロジェクトを委託された産学官の実施者は、産学官連携の研究開発コンソーシアムとして、知的財産の取得とその実施の知的財産取り扱い規程(ルール)を定め、知的財産運営委員会を整備する、(3)プロジェクトの公募時点と契約時点で、それぞれ知的財産マネジメントのルールを提案し、契約後1年以内に、同ルール内容を決め、知的財産マネジメントの内容を明確化する、(4)秘密漏洩防止、技術情報の流出防止の管理を徹底する、(5)NEDOは知的財産マネジメントのサポート体制を強化する――である。ここでいう知的財産とは、特許、実用新案、意匠、ノウハウなどを指す。秘密漏洩とは、“営業秘密”などの秘密保持態勢で定めたものの漏洩を指す。

 今回、NEDOが各プロジェクトに知的財産マネジメントの基本方針を策定した理由は、(1)研究開発成果の利用実態分析を強化し、研究開発成果の活用を促進することを目指す。政府資金による委託研究開発から産まれた“発明”は、実施者に帰属するという日本版バイドール法(平成11年度実施の産業活力再生特別措置法第30条)への調査への協力を、平成23年度(2011年度)以降に義務化する方針である、(2)未利用の成果などの活用を促進することを検討する――の2点である。

 現実的には、今回のNEDOの知的財産マネジメントの基本方針は、平成24年度(2012年度)から本格的に適用することを目指すもようだ。