韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のSiファウンドリー向け量産ライン
韓国Samsung Electronics Co., Ltd.のSiファウンドリー向け量産ライン
[画像のクリックで拡大表示]

 2010年,いわゆるリーマン・ショックから抜け出した半導体市場は,過去最高を更新する活況を呈した。中でも成長分野であるSiファウンドリー市場では,最大手の台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.(TSMC)が磐石の体制を築いているように見える。しかし,ここへ来てTSMCに挑む新たな挑戦者が登場してきた。企業統合によって早くも業界2番手グループに急成長した米GLOBALFOUNDRIES, Inc.と,Siファウンドリーに新規参入したメモリ最大手の韓国Samsung Electronics Co., Ltd.だ。これに対してTSMCは,果敢な設備投資や積極的な技術開発などで引き離しにかかる。さらに同社はSiファウンドリーという既存分野に加え,太陽電池やLEDなど新規分野へ進出し始めた。2011年は半導体市場全体が踊り場を迎えると見られるなか,Siファウンドリー業界で苛烈な競争が繰り広げられる可能性が高い。

 2010年の半導体世界市場は絶好調だった。世界の半導体売上高(3カ月の移動平均値)は,2010年10月こそ9月をわずかに下回ったが,それまでの6カ月は連続して過去最高記録を更新し続けた(Tech-On!関連記事1)。その中でもSiファウンドリーは成長分野であり,その成長率は半導体市場全体の成長率を上回っている。半導体生産量に占めるSiファウンドリーの割合も年々高まっており,最近は20%超に達するようになってきた(Tech-On!関連記事2)。将来に向けても,2014年までの年平均成長率は10%/年を大きく超え,2014年には400億米ドル超の市場規模になると見られている(Tech-On!関連記事3

 このようなSiファウンドリー市場において,圧倒的に優位な立場にあるのがTSMCである。同社の立場は,2位以下に対して売上高で3倍以上,設備投資額でも2倍以上の差を付けている。ちなみに,同社の2010年売上高見込みは半導体市場全体の中でも見ても,ランキング1位の米Intel Corp.,同2位の韓国Samsung Electronicsに続く規模を誇っている(Tech-On!関連記事4)。

 このTSMCを筆頭に,近年のSiファウンドリー業界は,2位が台湾United Microelectronics Corp.(UMC),3位がシンガポールシンガポールChartered Semiconductor Manufacturing Ltd.(CSM)という安定した状況が長く続いていた。しかし,2010年は,Siファウンドリー市場にガリバーとして君臨するTSMCに挑戦する新たな競争相手が登場した。GLOBALFOUNDRIESとSamsung Electronicsである。