iPhoneはアンテナ問題に揺れるも…

iPhoneシリーズの第4世代品となる「iPhone 4」
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 iPhoneシリーズでスマートフォン市場を席巻するApple社も,例年通り6月にiPhoneの新機種「iPhone 4」を投入した(関連記事)。販売は順調にスタートしたとみられたが,ここで思わぬ問題が持ち上がった。握り方によって受信状態が不安定になる現象が発生し,米国などで苦情が相次いだのだ。指摘を受けたApple社は2010年7月に記者会見を開き,希望者にiPhone 4のケースを無償で提供することを発表した(関連記事)。専門家の協力を得てiPhone 4の受信感度を測定した日経エレクトロニクス誌は,手を模した実験用具に携帯電話機を持たせたときにiPhone 4の受信感度が大きく低下する現象を確認している(2010年8月9日号解説「iPhone 4の受信感度は本当に悪いのか?」)。

 それでもiPhone 4は売れに売れた。Apple社の2010年度第4四半期(同年9月25日までの3カ月間)におけるiPhoneの出荷台数は1410万台。前年同期比で91%もの増加となったのである(関連記事)。スマートフォン市場における「Apple社のiPhone」対「各社のAndroidスマートフォン」という1対多の構図は,当面続きそうだ。

 この構図に割って入ろうとするのが,フィンランドNokia Corp.や米Microsoft Corp.である。携帯電話機の世界出荷台数首位のNokia社は,Linuxを使ったソフトウエア・プラットフォーム「MeeGo」を米Intel Corp.と共同で発表した(関連記事)。Symbianを使った携帯電話機と同じアプリケーション・フレームワーク「Qt」を採用しつつ,テレビや車載情報端末,タブレット端末などにもMeeGoを広げることで,ソフトウエア・プラットフォームの一大勢力を作り出すことを狙っている。またMicrosoft社は,スマートフォン向けソフトウエア・プラットフォームの新版「Windows Phone 7」を開発し(関連記事),同年10月にWindows Phone 7を採用したスマートフォン9機種を発表した(関連記事)。

 本記事の冒頭で振り返ったように,2011年には各国の市場でスマートフォンへの移行が確実に進むだろう。その過程では,Apple社やGoogle社,Microsoft社といったプラットフォームの供給者が,自らの陣営のアプリケーション・ソフトウエアやコンテンツ・サービスを充実させるために,あの手この手を繰り出してくるだろう。頻発している特許訴訟も,その一環といえそうだ(関連NEブログ)。その中で,携帯電話機のメーカーはどのような一手を打てるのか。2011年も話題は尽きない。