米Google Inc.が初の自社ブランドのAndroidスマートフォン「Nexus One」を発表したのは2010年1月5日(米国時間)のことだった(関連記事Android関連の2010年の動きをまとめた記事)。それからわずか1年しか経っていないとは思えぬほどスマートフォンが飛躍した1年間だった。

Androidスマートフォンが国内でも続々登場

 2010年10~11月に相次いで開催された,国内携帯電話事業者大手3社の2010年冬・春モデル発表会――。そこは,国内の携帯電話機の主役がスマートフォンに取って代わられたことを象徴する場だった。各社とも,スマートフォンの新機種の紹介に時間のほとんどを割き,既存ブランドのいわゆる「ケータイ」の新機種は簡単に説明するにとどまった。KDDI 代表取締役社長の田中孝司氏(当時の役職は代表取締役執行役員専務)は発表会で,「2011年度は,携帯電話機の出荷台数の半分以上がスマートフォンになるだろう」と,国内市場でも一気にスマートフォンへの移行が進むと予測した(関連記事)。

2010年4月に国内で発売された「ドコモ スマートフォン Xperia」(SO-01B)
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 米Apple Inc.の「iPhone」シリーズの独壇場だった国内スマートフォン市場に変化が起きたのは,高機能なAndroidスマートフォンが続々と投入されたからだ。NTTドコモとソフトバンクモバイルが2010年4月に相次いでAndroidスマートフォンを発売したことが,国内でもスマートフォンへの移行が加速する契機となった。

 NTTドコモは,日スウェーデン合弁Sony Ericsson Mobile Communications ABが2009年に発表した「XPERIA X10」を,国内で「Xperia」として発売(関連記事)。両社が共同で開催したXperiaの記者発表会に多数の報道関係者が詰めかけて多くの立ち見が出るなど,注目度の高さがうかがえた。ソフトバンクモバイルが発売したのは,同社初のAndroidスマートフォン「HTC Desire SoftBank X06HT」(台湾High Tech Computer Corp.(HTC社)製)である(関連記事)。Androidの当時の最新版であるバージョン2.1を搭載し,ディスプレイに有機ELパネルを採用する(後に液晶パネルに変更:関連記事)など,ハイスペックであることをウリした機種だった。

 スマートフォンの投入でやや出遅れたKDDIも,スマートフォン製品群の新ブランド「IS series」を2010年3月末に発表。Androidスマートブック「IS01」(シャープ製)とWindows Mobileスマートフォン「IS02」(東芝製)を同年6月に発売した(関連記事)。

 世界的に見れば,Androidスマートフォン開発の主役となったのは2010年もグローバルに端末を供給するメーカーだった。例えば2010年2月に開催されたモバイル関連の展示会「Mobile World Congress 2010」(記事リンク集)では,Sony Ericsson社,HTC社,中国Huawei Technologies Co., Ltd.などがAndroidスマートフォンの新機種を発表していた(Sony Ericsson社の記事HTC社の記事Huawei社の記事)。このほか韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が2010年3月に「Galaxy S」(関連記事NTTドコモによるGalaxy S発表の記事),米Motorola Inc.が同年6月に「DROID X」を発表するなど,この1年は数え切れないほどのAndroidスマートフォンが登場した。

国内独自機能に価値を求める国内メーカー