Kinect分解もいよいよ終盤。三段構造のうち,後段と中段の基板を本体から取り外した。本体部に残ったのは,赤外レーザや赤外光用のカメラ,そして可視光を検知するカメラといった光学部品から構成される前段部である。これらレーザやカメラは,大型の金属部品に搭載されている(図1,2)。
この金属部品から,レーザやカメラを取り外す。技術者が注目したのは,レーザの冷却である。レーザが熱伝導性の高い大型の金属部品に搭載されていることや,放熱ファンがレーザ搭載側に配置されていることから,レーザの冷却に注力しているのではないかとの仮説を,分解に携わった技術者たちが持っていたからだ(Tech-On!関連記事)。そもそもレーザは,温度変化に敏感な光学部品である。例えば,温度が変わるとレーザの発振波長も変化する。レーザを利用する機器では,発振波長といったレーザの諸特性に合わせて光学設計を施すため,温度変化を抑え,レーザ特性の変化を抑制する必要がある。
レーザ搭載部をさらに分解していくと,技術者の仮説どおり,Kinect内のほかの電子部品と比べて,レーザではより細かい温度調整を施している形跡が見つかった。レーザの裏側部分に,冷却用のペルチェ素子とみられる部品が配置されていたのである(図3)。
レーザの出射面を見てみると,周囲の光を反射して,玉虫色に光っていた(図4)。また,赤外光を検出するカメラの受光面も周囲の光を反射していた(図5)。レーザの出射面やカメラの受光面で周囲の光が反射するのは,いずれも赤外光を透過するフィルタ機能を備えているためと推測できる。
これで,分解は一通り終了。詳細な分析については,後日,日経エレクトロニクス本誌やTech-On!に掲載予定である。