図1 後段の大型基板はネジ止めされている。写真右にあるのがそのネジである。
図1 後段の大型基板はネジ止めされている。写真右にあるのがそのネジである。
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図2 スペーサーの中空部分がネジ穴となる。中空部分の逆側は,周囲に溝が彫ってあり,ネジのように穴に挿し,固定できる。
図2 スペーサーの中空部分がネジ穴となる。中空部分の逆側は,周囲に溝が彫ってあり,ネジのように穴に挿し,固定できる。
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図3 写真中央部分に見えるのが,後段の大型基板(左)と中段の中型基板(右)を接続するコネクタ。
図3 写真中央部分に見えるのが,後段の大型基板(左)と中段の中型基板(右)を接続するコネクタ。
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図4 大型基板の表側
図4 大型基板の表側
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図5 放熱フィンの断面はT字型をしている。なお,大型基板を外す前の状態の写真である。
図5 放熱フィンの断面はT字型をしている。なお,大型基板を外す前の状態の写真である。
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図6 中段部の小型基板の写真。大型基板に対向する側を撮影した。
図6 中段部の小型基板の写真。大型基板に対向する側を撮影した。
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図7 中段部の中型基板の写真。前段部に対向する側を撮影した。
図7 中段部の中型基板の写真。前段部に対向する側を撮影した。
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 いよいよ内部の3段構造のモジュールの分解に取り掛かる。まずは,後段部分にある大型基板を取り外す。この大型基板は,ネジやコネクタによって,中段にある小型基板や中型基板と接続されている(図1)。

 大型基板と中型基板の間,大型基板と小型基板の間には,筒形の「スペーサー」がある(図2)。このスペーサーは,基板間の間隔を保つだけでなく,ネジ穴の役割を果たしている。スペーサーの中空部分と,基板にあけられた穴の位置が一致することで,中段部の中型基板や小型基板と,後段部の大型基板をネジ止めするネジ穴として機能するのだ。

 ネジに加え,大型基板と中型基板,そして大型基板と小型基板の接続にそれぞれの1個のコネクタを利用している(図3)。

 取り外した大型基板を見てみる。Kinect本体の後ろ側を基板の「表側」,前側を基板の「裏側」とすると,表側の中央にはルネサス エレクトロニクスのUSB 2.0対応ハブ・コントローラLSI「μPD720114」(パッケージの刻印はD720114)とみられるチップが搭載されている(図4)。左側には,ステレオ音声に対応する英Wolfson Microelectronics社のA-D変換器「WM8737」(パッケージの刻印はWM8737G)が2個実装されている。WM8737はプリアンプ機能も備える。

 大型基板の表側の右側にある放熱フィンを横から見ると,大型のチップに取り付けられているのがわかる(図5)。フィン部分がすべて,なんらかの電子部品に接しているわけではなく,フィンの一部だけが大型チップと接している。そのため,放熱フィンの断面はT字型をしている。放熱フィンを外そうとしたが,なかなか取れない。力任せにやると,基板が割れる恐れがある。そこで,このフィンを外す作業は後回しにすることにした。

 続いて,中段部にある中型基板と小型基板を取り外す。小型基板の片側(大型基板に対向する側)には,音声処理向けのTexas Instruments(TI)社のUSB 1.1対応コントローラIC「TAS1020B」のほか,米Kionix社の3軸加速度センサ「KXSD9」が搭載されている(図6)。Kinect本体部は,ユーザーの位置などによって,上下に動く(チルトする)。加速度センサを用いることで本体部の傾き具合を検知し,その結果を,ユーザーの位置や動きの検知に利用しているとみられる。

 中型基板には,PrimeSense社のSoC「PS1080」(パッケージの刻印はPS1080-A2,大きさ5mm角)が搭載されている(図7)。米Microsoft社は,KinectにPrimeSense社の技術を用いたことを明らかにしていたが,そのリリースどおり,同社の技術を利用していたことが判明した。

 なお,PS1080は,赤外光カメラで検出したデータから,フレームごとに深さ情報を算出するという。この深さ情報とともに,可視光カメラやマイクから得られたデータを,USB 2.0のインタフェースを用いてホスト側に伝送する機能を持つ。

 続いて,赤外レーザや赤外光用のカメラ,そして可視光を検知するカメラといった光学部品が配置されている,前段部を見てみる。