Android基板の表側。中央やや左寄りがIntel社の「Atom CE4100」。左下には「Foxconn」の文字が見える
Android基板の表側。中央やや左寄りがIntel社の「Atom CE4100」。左下には「Foxconn」の文字が見える
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Android基板の裏側。右側に実装されているのが,フラッシュ・メモリとそのコントローラ
Android基板の裏側。右側に実装されているのが,フラッシュ・メモリとそのコントローラ
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 次が信号処理基板(いわば“Android基板”)である。テレビ基板と同じ要領でヒートシンクを外すと,Intel社のSoC「Atom CE4100」が姿を現した。

 DRAMは8個搭載されていた。韓国Samsung Semiconductor社の「K4B1G0846F」である。1個当たりの容量は1Gビットなので,全体の容量は1Gバイト。8ビット幅×8個で64ビット幅になっている。分解に立ち会った技術者によると,通常のテレビでは16ビット幅のチップを2個搭載した32ビット幅が多いそうである。このあたりにも性能へのこだわりが感じられた。

 基板の裏側には,フラッシュ・メモリと,SSDで使われるコントローラが搭載されていた。CE4100とフラッシュ・メモリの間はSATAで接続されている。

 最後に,テレビ基板とAndroid基板の間の信号処理がどうなっているかを分析した。個々のチップの機能を勘案すると,そのまま表示できるテレビ番組の映像データをテレビ基板側で作り上げ,それをLVDSでAndroid基板側に送っていると推定された。Android基板では,インターネットからのデータを処理し,それにテレビ基板からの映像を組み合わせ,最終的に液晶パネルに出力している。

 以前分解したインターネット・テレビ「ROBRO-TV」もテレビ基板とパソコン基板に分かれていたが,データの流れはGoogle TVとは異なっている(日経エレクトロニクスの関連記事)。ROBRO-TVが搭載していた「Atom N270」は汎用プロセサであり,CE4100のようなSoCではなかったためだ。ROBRO-TVでは,チューナーからの信号がパソコン基板に直接渡され,パソコン基板の信号をテレビ基板のSoCに戻し,そこから液晶パネルに出力していた。

 ROBRO-TVは,いわばテレビの処理にパソコンが割り込むことで,インタラクティブなテレビを実現していた。これに対し,Google TVでは,テレビの機能は内部で独立しており,そのまま表示できる形のテレビ映像をAndroidのシステムが受け取るようになっている。こうした構成からは,「テレビ映像はGoogle TVにとってはソースの一つに過ぎない」という思想が見て取れた。現に,ソニーのBDプレーヤー型Google TVである「NSZ-GT1」にはチューナーすら載っていない。テレビ番組はSTBを接続して視聴するのが前提である。

 なお,分解の詳細については,日経エレクトロニクス2010年12月13日号の特集に掲載する予定である。