「そろそろ始めますか」。ソニーが開発したGoogle TV対応液晶テレビ「NSX-24GT1」の使い勝手を一通り確かめたところで,本来の目的である分解作業に取りかかった。本体を裏返し,ネジをはずす。裏ぶたはあっけないくらい簡単に開いた。
技術者の第一印象は「ずいぶんゴチャゴチャしているな」ということだった。内部に多くのケーブル類が使われている。メインの基板が2枚に分かれており,電源基板を含めた3枚の基板の間でケーブルが這い回っていた。
分解前は「Google TVが搭載するIntel社の『Atom CE4100』はテレビ向けのSoCだから,テレビの回路はCE4100を搭載した基板にまとめられているだろう」と編集部では予想していた。しかし,実際には電源基板以外に2枚の基板が搭載されていた。CANチューナーとヒートシンクが付いた基板と,巨大なヒートシンクが付いた基板である。前者がテレビの機能をまとめた“テレビ基板”,後者がCE4100を搭載したいわば“Android基板”だと予想した。
この構成は,以前,編集部で分解したインターネット・テレビ「ROBRO-TV」にとてもよく似ている。ROBRO-TVの内部構成は,従来のテレビにパソコン・ユニットを追加した形になっていた(日経エレクトロニクスの関連記事)。今回,比較用に用意したソニーの日本向け22型テレビを開けてみると,やはりGoogle TVからAndroid基板を取り去ったような構成になっている。この手の製品を開発しようとすると,従来のテレビに情報処理用のコンピュータを割り込ませる形になりやすいらしい。
「デバッグ用のポートがありますね」。NSX-24GT1を見ていた技術者が細かい点に気付いた。ソニーのテレビにはたいていデバッグ用のポートが残されているとのことである。
テレビ基板とAndroid基板のヒートシンクはいずれもハンダで留められていた。テレビ回りの処理を行っているSoCが何かを知りたいし,CE4100周辺の回路も見たい。どうやって外そうか。そのとき技術者の一人が言った。「ハンダごてがあれば外せますよ」。
(その5に続く)