ソニーは,2010年度第2四半期(7月~9月)の連結決算発表の場で,ゲーム事業の現況と今後の見通しなどについて語った(Tech-On!関連記事1)。今期,ゲーム事業やパソコン事業,ネットワーク・サービス事業を手掛ける「ネットワークプロダクツ&サービス」セグメントは,売上高3691億円と前年同期比5%増,営業利益は69億円と,前年同期の590億円の赤字から黒字に転じた。その黒字化に大きく貢献したのがゲーム事業である。

 ゲーム事業を牽引したのはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の据置型ゲーム機「プレイステーション 3(PS3)」。PS3本体の逆ザヤ状態を解消した上,売り上げ台数も伸びた。具体的には,PS3の今期の売り上げ台数は350万台と,前年同期の320万台を上回った。ハードウエアだけでなく,ソフトウエアも順調で,PS3用パッケージソフトウエアの今期の売り上げ本数は3530万本と,前年同期の2390万台と比べて約1.5倍になった。

 PS3周辺機器の中では,2010年9月より北米と欧州で販売を開始したジェスチャー入力コントローラ「PlayStation Moveモーションコントローラ」が好調だった。同年10月中旬までで,北米と欧州だけで既に250万台以上を出荷したという。同年10月21日より日本でもMoveの販売が始まったが,この数値には日本での販売数は含まれていない。

 このほか,PS3用地デジ視聴・録画キット「torne」も周辺機器としてヒットを飛ばしている。ソニー・コンピュータエンタテインメントによれば,2010年3月18日の発売開始から同年9月末までに,40万台以上を出荷したという。

PSPの売り上げ台数は半減


PS3が好調な一方で,携帯ゲーム機「PSP」シリーズは苦戦した。今期(2010年7月~9月)の売り上げ台数は150万台と,前年同期の300万台の半分だった。PSP用パッケージソフトウエアの売り上げ本数も減少し,今期は1100万本と,前年同期の1300万本より200万本減少した。

 PSPシリーズは2種類の機種がある。「UMD」と呼ぶPSP用光ディスク再生装置を備えた品種と,UMD再生装置を取り除いた「PSP go」である。ソニーは具体的な売り上げ台数を公表していないが,2機種のうち不振とみられるのがPSP goである。「現時点でみると,(PSP goの売れ行きは)予想よりも下回っている」(ソニー CFOの加藤優氏)。

 そこで,状況改善の刺激策として,2010年10月末からPSP goの希望小売価格を1万円値下げした(Tech-On!関連記事2)。「まずはPSP goを手にとっていただきたい。値下げは,そのあと押し策だ」(加藤氏)。

 今後のPSPてこ入れ策として,会場からは開発の噂がささやかれている「次世代PSP(PSP 2)」や,PSPのゲーム機能を搭載した携帯電話機「PSPフォン」に関する質問が飛び交った。これに対し,「ゲームのプラットフォームを提供する立場として,(PSPの次世代機を)いろいろ検討している。しかるべきタイミングが来たときに話したい」(加藤氏)とし,明言を避けた。