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マツダ,燃費を大幅に向上させる6速ATを開発,ECUを内蔵

2010/10/25 19:54
清水 直茂=日経エレクトロニクス
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図1 マツダが開発した6速AT「SKYACTIV-Drive」
図1 マツダが開発した6速AT「SKYACTIV-Drive」
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 マツダは,従来から燃費を大幅に向上できる6速自動変速機(AT)を開発した(図1)。搭載する車両は未公表だが,中型車やミニバンなどが想定される。開発品は2種類で,主にガソリン・エンジン車に向けた中トルク型と,ディーゼル・エンジン車に向けた高トルク型がある。燃費については中トルク型で現行の5速ATと比べて7%,高トルク型で同6速ATと比べて4%の向上を目指した(図2)。ともに自社工場で「内製する」(マツダ)という。

走行中のほとんどがロックアップ領域

 開発した6速ATは「SKYACTIV-Drive」と呼ばれ,マツダが2010年10月20日に発表した次世代技術の総称「SKYACTIV」の一つに位置付けられる(Tech-On!関連記事)。燃費向上は(1)「ロックアップ」領域の拡大や(2)内部抵抗を減らすこと,などで達成した。さらに,なめらかな変速の実現のため,(3)機械式クラッチをきめ細かに制御するリニアソレノイド・バルブを採用し,電子制御ユニット(ECU)を内蔵した。

 (1)のロックアップとは,機械式クラッチにより入出力軸を直結することで伝達効率を上げる機能のこと。開発品では,トルクコンバータによる流体を介した駆動力の伝達は「発進時と停車時のみ」(マツダ)にとどめ,「それ以外はすべてロックアップ領域」(同社)と言えるほど機械式クラッチを多用する(図3)。流体を使うトルコンでは伝達効率が低くなりやすいためだ。この結果,「JC08モード」での走行時,ロックアップ領域が従来の5速ATで49%のところ,開発品では82%と大幅に拡大した(図4)。

 ロックアップ領域の拡大は燃費向上という利点がある一方で,入出力軸の直結頻度が増えるために車体の振動や雑音(NVH)性能の悪化につながりやすい。そこでマツダは,開発品にさまざまな対策を施した。例えばAT内部に搭載するダンパーの伝達特性を改善することや,機械式クラッチの応答を速くして制御性を高め,振動しにくい制御を導入した(図5)。

 さらに,ATそのものだけではなく,エンジンや車体などでも対策した。エンジン出力を変速時の振動が少なくなるように変化させるほか,車体の剛性を上げて,振動の伝達感度を変速時の振動領域で低くなるようにした(図6)。「NVH性能の改善はSKYACTIV-Drive単体を改善するだけでは難しかっただろう。今回,エンジンや車体などを同時に一新したため,車両全体の総合力を発揮して対策することができた」(マツダ)。

トルク損失を約20%低減

 (2)の内部抵抗については,トルク損失を従来の5速ATの9N・m弱から7N・m程度へと約20%低減した。これは油量を少なくしてポンプの仕事量を減らすことや,摺動部品の摩擦低減,油中にある粘性抵抗の大きな機構部品の動作頻度を減らすこと,ギア比の変更頻度を増やして最適化することなどして実現した。

 マツダは燃費向上に加えて,「走りの良さ」に大きな影響を与えるなめらかな変速の実現にもこだわった。そこで(3)のリニアソレノイド・バルブを採用して,機械式クラッチを動作させる油圧を従来から2〜3倍程度上げた。クラッチを滑りにくくして,応答性を向上させつつ伝達損失を減らした。

 また,ECUを油圧制御装置と一体化してATに内蔵することで,ECUからの制御指令値と実際の油圧がずれるバラツキの度合いを従来から約80%減らした(図7)。これも,なめらかな変速の実現に寄与する。従来,ECUはATと別置きだった。このためECUの指令値と,ATに内蔵した油圧制御装置の出力のバラツキの調整を量産工程で実行することが難しく,ある程度のバラツキを許容していたという。なお,ECUを高温なAT内に搭載するため,動作温度として150℃まで対応させた。

図2 燃費を大幅に向上できる
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図3 トルクコンバータ部は「オマケ」と言えるほど小さい
図3 トルクコンバータ部は「オマケ」と言えるほど小さい
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図4 ほとんどがロックアップ領域
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図5 AT単体でのNVH対策
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図6 エンジンや車体でもNVH対策
図6 エンジンや車体でもNVH対策
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図7 ECUをATに内蔵した
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