ソニー 業務執行役員SVP ホームエンタテインメント事業本部本部長の石田佳久氏
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今回発表した製品
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検索結果を画面に表示したところ。半透過表示になる
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専用のRFリモコン
専用のRFリモコン
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 「テレビの視聴スタイルを再定義し,新しい体験を提供する」。ソニーでテレビ事業を統括する,業務執行役員SVP ホームエンタテインメント事業本部本部長の石田佳久氏は,同社が2010年10月12日に米国ニューヨークで開催した,「Google TV」を採用したテレビの発表会でこう胸を張った。

 Google TVは,米Google Inc.が開発した,Androidベースのテレビ向けソフトウエア・プラットフォーム。最大の特徴は,画面上部に表示される検索バーにキーワードを入力すると,それが放送中の番組,インターネット上にある動画,公式サイトなどに関わらず結果として表示され,再生できる点。つまり,ユーザーが見たいものを見たい時に,そのソースとは無関係にテレビで楽しめるようにするのがコンセプトだ。

 インターネットのサービスとの融合を目指したテレビは以前からあったが,過去に大きな成功を収めた製品はない。米国では最近になって,ブロードバンドの普及,ネット上のコンテンツの充実,関連技術の成熟という,成功の条件がようやく整ったことが,ソニーが開発に取り組んだ背景にあるという。「オープンなインターネットへのアクセスを,初めてテレビにシームレスに融合できた」(石田氏)。

キーボード付きリモコン開発

 今回,ソニーが投入するのは,液晶テレビ「Sony Internet TV」シリーズ4機種とBlu-rayプレーヤ「Sony Internet TV Blu-ray Disc Player」。ソニーは液晶テレビのブランドとして「BRAVIA」を展開しているが,今回の製品は「新技術に敏感な若い世代をターゲットにしているので,あえてBRAVIAブランドを外した」(石田氏)という。

 画面サイズは24型,32型,40型,46型で,24型以外はLEDバックライトを搭載する。価格は599.99~1399.99米ドル。「同等スペックのテレビと比較して200~300米ドルのコストアップに抑えた。そのためにパネルの駆動周波数が60Hzの製品を使っている」(石田氏)。なお,BDプレーヤの価格は399.99米ドルである。販売地域は当面,米国のみ。Sony Styleの各店舗で10月16日に販売を開始し,その後Best Buyの各店舗で順次販売を始める。

 ソニーは今回の製品向けに,QWERTYキーボード付きの小型RFリモコンを開発し,製品に添付する。スマートフォンより一回り大きいサイズで,右上にはカーソルの操作用に光学式トラックボールが設置されている。虫眼鏡のアイコンが付いたボタンを押すと画面上に検索窓が開き,キーボードでキーワードを入力する。「Dual View」ボタンもあり,これを押すとテレビ画面が右下に小さく表示され,テレビを見ながらTwitterでつぶやいたり,スポーツの試合結果をWebページでチェックしたりできる。

 2010年内にはAndroid搭載のスマートフォンやiPhone向けに,それらをリモコンとして使うためのアプリケーションを配布する予定だ。

動画はストリーミングのみ

 ハードウエアなどの仕様の詳細は公表していないが,プロセサは米Intel Corp.の「Atomプロセッサー」(SoC「CE4100」と思われる)で,8Gバイトのフラッシュ・メモリを搭載している。8Gバイトのうち,ユーザー使用可能領域は4Gバイトである。Androidのバージョンは2.1で,Flash 10.1に対応している。ブラウザーはChromeである。
 標準で,CNBC,Netflix,Pandra,YouTube,Twitterなどのアプリケーションがインストールされている。2011年初めには,Google社が運営する「Android Market」からアプリーションを追加できるようになるという。

 ただし,使えるメモリ容量には制限があるため,動画コンテンツはテレビにダウンロードできず,ストリーミング形式のものだけ視聴できる。「アプリケーションも起動用の部分のみをテレビ側に保存して,実際の処理はサーバー上で行うことになる」(ソニー)という。
 
 Google TVプラットフォームは,2011年夏にもオープンソース化される予定だ。つまり,ソニー以外のテレビ・メーカーでもGoogle TV対応製品を開発できることになる。この点について石田氏は,「オープンソースになってもそう簡単に開発できるものではない。我々には少なくとも半年間のアドバンテージがあるので,どんどん進化させていかねばならない」。