中央のディスクが今回の開発品。周囲は,既存の光ディスク何枚で1TBを実現できるかを示している。
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開発品の拡大写真
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 TDKは2010年10月5~9日に幕張メッセで開催している「CEATEC JAPAN 2010」において,記録容量が1T(1024G)バイトの光ディスクを参考出展した。片面で記録容量32Gバイト,両面で64Gバイト記録できる記録層を16層設けて実現した。現時点で製品となっているBlu-ray Disc(BD)は最大4層だが,これを大幅に増やした格好である。

 16層という多層化を実現できたポイントは,光透過率が高いディスク材料をTDKが独自に開発した点。具体的には,第1層分では光透過率95.1%,16層目でも72.6%の光が透過するという。ただ,この材料は「BDの一部で使われた実績があり,耐久性などの問題はない」(TDK)。加えて,利用するレーザ光も「BDと同じNA(開口数)0.85のビームを使う」(同社)としており,既存のBDの技術の多くが流用できるという。

 データの読み出し速度も,32Gバイトの1層分はBDと同じ。読み出し時のシンボル・エラーレートは,各層およそ1×10-5~1×10-4の間に収まっており,「実用化には問題ない水準」(TDK)という。

 残る課題は,ディスクの厚さ。「Blu-ray Discの規定では記録層を計100μm厚以下にしなければならないが,この光ディスクは,同260μm厚。厚いと光学レンズの収差の問題も出てくる」(TDK)という。

 想定する用途は,家庭用記録メディアのほか,データのバックアップや放送業務など。実用化できるかどうかは「HDDメーカー次第」(TDK)とした。