図1 東芝が発表した裸眼対応の3Dテレビ(右が20型,左が12型)と,執行役上席常務 ビジュアルプロダクツ社 社長の大角正明氏
図1 東芝が発表した裸眼対応の3Dテレビ(右が20型,左が12型)と,執行役上席常務 ビジュアルプロダクツ社 社長の大角正明氏
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図2 20型品(右)と12型品(左)を用意
図2 20型品(右)と12型品(左)を用意
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図3 液晶パネルの画素配列(東芝の発表資料)
図3 液晶パネルの画素配列(東芝の発表資料)
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図4 インテグラル・イメージング方式の説明(東芝の発表資料)
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 東芝は2010年10月4日,裸眼で3次元(3D)映像を視聴できる液晶テレビ「グラスレス3Dレグザ(REGZA)GL1」シリーズを12月下旬に発売すると発表した(ニュース・リリース)。画面寸法は20型と12型の2品種を用意する。市場想定価格は,20型品が24万円前後,12型品が12万円前後。販売台数は,それぞれ月産1000台を予定する。同社は,2010年9月にドイツのベルリンで開催された「IFA2010」で,裸眼方式の「3Dテレビ」を市場投入することを明らかにしていた(Tech-On!の関連記事1)。

 登壇した東芝 執行役上席常務 ビジュアルプロダクツ社 社長の大角正明氏は,「東芝の3D技術が目指すのは,感動のリアリティ。専用メガネをかけずに楽しめる3Dテレビは,リアリティ追求の姿だ。東芝は,いち早く“グレスレス3Dテレビ”を商品化する」と,市場投入の狙いを説明する。価格については,「20型品はコスト的には,(市場想定価格の)24万円には達していない」(同氏)とし,利益を狙える水準でない状況で製品化していることをにおわせた。

液晶パネルはTMD製

 技術面では,「東芝の持っている“パネル技術”と“エンジン技術”という,東芝の総合技術力で実現した」(同社の大角氏)という。

 パネル技術に関しては,搭載する液晶パネルはグループ会社である東芝モバイルディスプレイ(TMD)製である。3D映像の表示には,TMD独自の「インテグラル・イメージング方式」を用いた(Tech-On!の関連記事2)。この方式は,液晶パネル前面に配置するレンチキュラ・レンズを用いる技術である。3D映像の見える範囲は左右15度,視点数は9である。3D表示時の画素数は,20型品が1280×720(総画素数は829万4400),12型品が466×350(総画素数は147万)とする。

 20型品に搭載する液晶パネルは,RGB3色の1画素を垂直方向に配列し,それを9視差分水平方向に並べる特殊な画素配列を採用した。このパネルに,レンチキュラ・レンズを張ることで,「鮮鋭感があり干渉縞の少ない3D映像を実現した」(東芝)という。

20型品はCellを搭載

 エンジン技術に関しては,20型品は,東芝やソニー・グループ,米IBM Corp.で共同開発したマイクロプロセサ「Cell Broadband Engine(以下Cell)」と多視差変換用LSIを搭載した「グラスレス3D専用CELLレグザエンジン」を採用する。映像処理LSIと多視差変換LSIを組み合わせた「グラスレス3D専用レグザエンジン」を備える。

 なお,東芝は開発品を 2010年10月5~9日に幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2010」に出展する。