図1 代表取締役社長の岩田聡氏
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図2 「ニンテンドー3DS」の外観
図2 「ニンテンドー3DS」の外観
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図3 「いつの間に通信」の説明スライド
図3 「いつの間に通信」の説明スライド
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図4 3D映像コンテンツを配信
図4 3D映像コンテンツを配信
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図5 「すれちがい通信」を強化
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図6 同梱される「ARカード」
図6 同梱される「ARカード」
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図7 前後のカメラで撮影した映像を合成できる(1)。岩田社長と代表取締役専務の宮本茂氏を合成するスライド
図7 前後のカメラで撮影した映像を合成できる(1)。岩田社長と代表取締役専務の宮本茂氏を合成するスライド
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図8 前後のカメラで撮影した映像を合成できる(2)。説明員によると,購入時は,インカメラで撮影した映像から目や鼻などの顔のパーツを,アウトカメラで撮影した映像が髪形や輪郭をそれぞれ抽出し,合成するという
図8 前後のカメラで撮影した映像を合成できる(2)。説明員によると,購入時は,インカメラで撮影した映像から目や鼻などの顔のパーツを,アウトカメラで撮影した映像が髪形や輪郭をそれぞれ抽出し,合成するという
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 「今年は“3D元年”といわれているが,3D機器が普及するにはハードウエアとソフトウエアの『ニワトリと卵』の関係を解かなければならない」――。

 任天堂で代表取締役社長を務める岩田聡氏は,裸眼立体視に対応する携帯型ゲーム機「ニンテンドー3DS(スリーディーエス)」(以下,3DS)の国内市場での発表会で,3D対応機の普及に向けたハードルの高さをこのように表現した(Tech-On!の第1報)。「3D表示を生かすソフトウエアがなければ,ハードウエアに魅力が生まれない。逆に,ハードウエアが普及する見込みがなければソフトを開発する人は現れない」(同氏)ことを例えたものである。

 岩田氏は,「ゲーム機を3D対応にするのは技術的にそれほど難しくない。しかし,据え置き型ゲーム機の場合,『3Dテレビ』に接続して遊んでくれるお客様は全体の一部にしかならないため,ニワトリと卵の関係は簡単に解けない。その点で,携帯型ゲーム機は,ゲーム・デバイスと表示画面が一体であり,ハードを購入したすべてのお客様に同じ環境を提供できる。3D表示にアプローチするには,携帯型ゲーム機が圧倒的に優位と考えている」と力説。爆発的なヒットには至っていない3Dテレビに対する優位性を強調した。

 ただし任天堂は,「3DSの普及に対して楽観視していない。普及のためには新たなハードルを超えなければならない」(同社の岩田氏)とする。「3D表示は実際に体感しなければその価値を実感できないし,テレビや印刷媒体,インターネットなどではその価値を伝えられない」(同氏)ためだ。店頭表示についても,「足を運んでくれないお客様以外には伝わらない」(同氏)と,ハードルの高さを強調した。

「いつの間に通信」機能を新たに搭載

 任天堂は,3DSの普及に向けいくつかの新たな機能を追加している。その一つが,新たに搭載する「いつの間に通信」機能である。これは,自宅などの無線LANのアクセス・ポイント経由で,自動的に情報がダウンロードされるもの。「3DSをスリープモードにしておくと,周囲の『Wi-Fiアクセス・ポイント』を自動的に探す。それが設定されたものであれば,自動的に通信を行い情報やコンテンツをダウンロードできる」(同社の岩田氏)という。

 いつの間に通信の機能を使い,3D映像コンテンツの配信を開始する。具体的には,日本テレビ放送網とフジテレビジョンとそれぞれ提携し,放送局が制作したオリジナルの3D映像を毎日無料で配信する実験的な取り組みを展開する。これにより,「ニワトリと卵の関係を解き,3Dのビジネスが立ち上がりのきっかけをつくる」(任天堂の岩田氏)という。

 「すれちがい通信」も強化された。すれちがい通信とは,ニンテンドー3DSがスリープモード中に街中や電車の中で,他のニンテンドー3DSを探して自動的に通信する機能のこと。現行の「ニンテンドーDS」シリーズにも搭載されている。ただし,現行機種では対応するソフトを操作中にすれちがい通信モードにして,DS本体を持ち歩く必要があった。3DSでは,スリープモード中に本体が複数ソフトのすれちがい通信を自動で行う。「どのソフトを遊んでいる間にもすれちがい通信ができるほか,過去に遊んでいたソフトでもすれちがい通信ができる」(任天堂の岩田氏)という。

 カメラ機能としては,3DS本体にはAR(拡張現実感)技術を用いたゲーム・ソフト「ARゲームズ」を内蔵する。同梱される6枚の「ARカード」を撮影することで遊ぶことができる。筐体の前後にあるカメラを用いて,撮影した二人の映像を合成する機能や,撮影した映像から「Mii」を作成できる機能を備えた。