ARMの次世代コア「Eagle」の製品名は「Cortex-A15」,最大2.5GHz動作でサーバー用途も狙う
英ARM Ltd.は,同社のCortex-Aシリーズの次世代版「Cortex-A15」の概要について発表した(発表資料)。Cortex-Aシリーズはスマートフォンなどのアプリケーション・プロセサに向けたCPUコアで,今回のA15は開発コード名で「Eagle」と呼ばれていたもの。現行のCortex-A9の後継版となる。ARM社は2010年8月に開催されたプロセサ関連の学会「Hot Chips」においてEagleの技術概要を発表していたが(Tech-On!関連記事),今回は製品名を明らかにした形である。
Cortex-AシリーズのCPUコアには,「Cortex-A5」「Cortex-A8」「Cortex-A9」などがあるが,「今回,『A15』と数字を大きく増やした点に,当社の意気込みが表れている」(ARM社の日本法人であるアーム 代表取締役社長の西嶋貴史氏)とする。
Cortex-A15は32nm世代,28nm世代,20nm世代のCMOS技術での製造を想定しており,最大2.5GHzで動作する。1サイクル当たりにデコード可能な命令数は,Cortex-A9の2個に対しCortex-A15では3個に増やした。命令発行数は8個である。Cortex-A9と同じくout-of-order実行を採用する。パイプライン段数などマイクロアーキテクチャの詳細については2010年11月に追って公開する予定である。Cortex-A15は,これらマイクロアーキテクチャの変更や動作周波数の向上などにより,Cortex-A9と比べて約3倍の性能を実現するという。
Cortex-A15は「MPCore」としてマルチコア構成が可能であり,複数のCPUコアで共有するための2次キャッシュも統合した。2次キャッシュ容量はSoC設計者が変更可能であり,最大4Mバイトまで対応する。命令キャッシュおよびデータ・キャッシュの容量は32Kバイトである。1次/2次キャッシュはいずれも1ビットのエラー訂正,2ビットのエラー検出に対応する。オンチップ・バスはARM社のコアとして初めて「AMBA 4」に対応しており,128ビット幅のバスを構成できる。
既に米Texas Instruments社,スイスST-Ericsson社,韓国Samsung Electronics社の3社がCortex-A15のライセンスを受けている。現行のスマートフォンはCortex-A8ベースのものが多いが,2010年末から2011年にかけてCortex-A9ベースのスマートフォンの出荷が始まる。今回のCortex-A15ベースのスマートフォンは,さらにその先の数年後に登場することになりそうだ。
データセンターなどのサーバー用途も狙う
今回のCortex-A15では,2010年8月のHot ChipsでARM社が明らかにしたように,(1)複数OSを動作させるための仮想化機能,(2)40ビットまでの物理アドレス,に対応した(Tech-On!関連記事)。Cortex-A15はデータセンターのサーバーや通信インフラ機器などで用いることも想定しているため(4コアや8コア構成),仮想化機能の導入に踏み切った。また,スマートフォンなどにおいて個人用と会社用などでOS自体を分け,セキュリティを高める用途も見込んでいる。
(2)についても,サーバー用途を見込んだ拡張である。従来のARMコアでは物理アドレスは32ビット,アドレス空間は最大4Gバイトだったが,今回,物理アドレスを40ビットに拡張したことで,最大1Tバイトのアドレス空間を利用可能となる。ARM社によると,「データセンターにおいて巨大なデータベースを扱う用途や,大規模な科学技術計算などでの利用を想定している」(同社)という。













