ソニーのSXRDを使った3Dプロジェクター
ソニーのSXRDを使った3Dプロジェクター
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 「IFA2009」がソニーの3D参入宣言など,液晶テレビ,プラズマ・テレビの3D発進で盛り上がったのに対し,「IFA2010」のブラン・ニューはプロジェクターだ。もちろんテレビの3D化は2009年以上に盛んだが,前代未聞という意味ではプロジェクターがそうである。テレビでは鑑賞中に周りの家具などが目に入ってしまう。これに対し,プロジェクターでは,部屋を真っ暗にして大画面を鑑賞するため,見切りのない3D映像で高い臨場感や没入感が得られる。

 韓国LG Electronics社は,一足先に「2010 International CES」で,ソニー製のLCOSである「SXRD」を搭載した3Dプロジェクターを発表,その後発売した。IFAでのデビューは,ソニー,三菱電機,シャープ,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.の4社だ。LG Electronicsを含めた5社をグループ分けすると,SXRDを搭載したのがLG Electronics,ソニー,三菱電機の3社,米Texas Instruments Inc.(TI)の「DLP」を搭載したのがシャープとSamsung Electronicsの2社である。LCOS素子「D-ILA」を使っているビクター,反射型液晶のエプソンは,まだ姿を見せていない。

 SXRDは反応速度の速さとコントラストの良さに特徴がある。SXRDを搭載した3社のうち,LG Electronicsと残りの2社では3D方式が違った。LG ElectronicsはリアルD方式。円偏光の光にして偏光眼鏡を通して見る。光学系は右目用と左目用の二つを搭載し,一つに合成する。スクリーンは偏光を保つためにシルバーになる。シルバー・スクリーンはギラつくために嫌がる人が多い。つまり2Dとの共用は難しい。

 一方,マット・スクリーンを使って2Dと3Dの両方で高画質を狙うのが,ソニーと三菱電機だ。いずれも画素間隔を狭くした新型SXRDをRGBで搭載した。光学系はLG Electronicsと違って一つである。両社は液晶テレビでも3Dを展開中(三菱電機は今後発売予定)なので,その信号処理システム,フィールド・シーケンシャル方式,液晶シャッター眼鏡をそのまま利用した。クロストーク対策は,SXRDを2倍速の240Hzで駆動する(3Dでは120Hzが基本)。液晶テレビではクロストーク対策としてバックライトを部分点灯させているが,プロジェクターでは部分点灯ができない。このことから,液晶シャッター眼鏡の開閉タイミングの調整が一層重要になる。

 DLPを搭載したシャープとSamsung Electronicsはいずれも,フィールド・シーケンシャル方式を採用した。マット・スクリーンを使っている。DLPは高速駆動なのでクロストークに強い。DLPでは,回転ホイールでRGBを投射し,フルカラーを得ている。このため,3Dに必要な左右2画像を作ろうとすると,回転ホイールのR部,G部,B部をそれぞれさらに2分割しなければならない。その動作制御が技術的なポイントになる。