パナソニックヨーロッパCOO兼パナソニックマーケティングヨーロッパ社長の塩川順久氏
パナソニックヨーロッパCOO兼パナソニックマーケティングヨーロッパ社長の塩川順久氏
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3Dカムコーダーでの自分が映るデモンストレーション
3Dカムコーダーでの自分が映るデモンストレーション
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Gシリーズ用の3D撮影用レンズ(カメラに取り付けたところ)
Gシリーズ用の3D撮影用レンズ(カメラに取り付けたところ)
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Gシリーズ用の3D撮影用レンズ(カメラから取り外したところ)
Gシリーズ用の3D撮影用レンズ(カメラから取り外したところ)
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プラズマ・テレビではこのように映る
プラズマ・テレビではこのように映る
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 「我々の会長&CEOのLaurens AbADIEから,2010年末に3Dテレビのシェアで50%を取れと厳命されています。私としては35%は取れる目算を持っていたのですが,これからさらに頑張らないと」。パナソニックヨーロッパCOO兼パナソニック マーケティング ヨーロッパ社長の塩川順久氏は言う。

 パナソニックの3Dテレビ市場シェアは,取材日(9月4日)時点で15%。同社は3Dの開拓者というイメージがあるが,シェアは意外に低い。というのも,「今日まで3Dテレビは,2010年5月に発売した50型プラズマ・テレビ1機種しかなかったのです。これまでは1機種だけで約8000台/月を出荷し,シェアは15%でした。しかし,この8月31日に42型や46型など4機種が加わりました。これからがいよいよ本番です。3万台/月に増やします」(同氏)。

 ではどうやって,さらに拡売するつもりなのだろうか。実は,パナソニックには市場開拓のための五つの秘策がある。「カスタマー・タッチポイントです。これをしっかりと実行することで,シェアを拡大できると期待しています」とパナソニックマーケティングヨーロッパ副社長の副島大規氏は言う。タッチポイントとは,読んで字のごとく,潜在顧客にどのように接触していくかを示している。

 第1に宣伝。これまでパナソニックは海外で宣伝活動はあまり重視せず,販売店に商品を送り込んでいた側面があったが,それを反省する。最終ユーザーとのコミュニケーションを図ることで,ブランド・アウェアネス(認知度)を向上させる。第2はWeb活用。効率的なコミュニケーション・ツールとしてWebをさらに重視する。第3はPR。特に大事なのは雑誌の評価という。欧州の消費者は,雑誌の評価を参考にして買う向きが非常に多い。機器の性能や特性を正しくユーザーに伝えるためにも,メディアの力は非常に大きい。第4は展示。マーケティング活動とタイミングを合わせて,きちんと店頭に展示されていることが重要。第5は店頭説明。特に3Dのような新規商品では,ユーザーの疑問や分からないことを販売現場で解決していくことが大変重要だ。それには店員教育だ。

 このタッチポイント作戦は3D以前から実行しており,既に英国で顕著な効果が出ている。全コンスーマ・エレクトロニクス製品のシェアで,2009年7月は13%だったが,2010年7月は16.1%に上がり,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.を抜いてトップに立ったという(GFK調べ)。タッチポイント作戦を徹底すれば,50%も決して無理な話ではないだろう。

 またパナソニック・ブースの一角では,レンズ交換式一眼カメラ「LUMIX G」シリーズ用の3D撮影用レンズを発見した。「IFA2010」では,既に日本で発表したカムコーダー用の3Dレンズが大評判で,サーカスのデモンストレーションは大人気だ。それと同じ発想だが,こちらは元々レンズ交換式。つまり交換レンズの感覚で,3D撮像ができるようになる。マウント径内に二つの光学系を搭載している。3Dテレビにはサイド・バイ・サイドで信号を送る方式だ。近々,「photokina」で製品発表される予定の,かなり小型のレンズだ。