会見する日本通信の三田社長
会見する日本通信の三田社長
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 日本通信は8月23日,米Apple社のスマートフォン「iPhone 4」向けにSIMカードを発売すると発表した。通信網は同社がMVNO(仮想移動通信事業者)として借り受けているNTTドコモの回線。「micro SIMカード」で提供する。Apple社が海外で販売しているSIMロックフリー版のiPhoneが対象で,端末を調達してカードを差し込むことで利用できる。ソフトバンクモバイルが日本で発売しているiPhoneなど,いわゆるSIMロック版の機種では使うことができない。

 今回提供するサービスは「talking b-microSIM プラチナサービス」。NTTドコモの800MHz帯と2GHz帯のFOMA回線を通信に使う。iPhone以外の端末では,サービスを利用できない。「micro SIMカードのスロットを持ち,NTTドコモの周波数に対応した機器なら技術的には通信回線に接続できるが,パケットがうまく流れないようにしてある」(日本通信)という。ただ,米Google社のソフトウエア基盤「Android」を搭載したスマートフォンや,Apple社の「iPad」のようなタブレット端末などに向けて同様のSIMカードを発売する可能性は示唆した。

 データ伝送速度は明らかにしていないが,ユーザーが利用するサービスの分野などに応じて帯域を制御し,快適に使える最適な速度を提供するという。一般的なインターネット閲覧ではユーザーが利用できるデータ伝送速度を抑え,動画配信などの大容量データを伝送するサービスでは高速通信を使えるようにする仕組みを導入した。

 iPhoneをネットワーク接続のための仲介機器にできる「テザリング機能」にも対応する。パソコンなどの機器を近距離無線通信技術「Bluetooth」や,USBケーブルでiPhoneにつなげることでインターネットに接続できるようになる。テザリング利用時のデータ伝送速度は,いわゆるベストエフォートで300kビット/秒を超える程度となる。

 サービスの月額利用料金は6260円で,内訳は定額データ通信料が5280円と通話サービス基本料が980円(1050円の無料通話)。8月26日から事前登録者向けにサービス契約を受け付け,それが終わり次第,一般受付を始める。

 会見した日本通信の三田聖二社長は「今回のサービス開始を契機に,iPhoneを海外から輸入販売する動きが広がるだろう。数カ月で2万台程度を期待する」と話した。