インターネットの管理団体である米Internet Corporation for Assigned Names and Numbers(ICANN)は2010年8月5日,IPv4アドレスの「IANA在庫」が,残り5%(2億3488万1024個)になったことを明らかにした(資料)。

 IANA在庫とは,ICANNの前身で,現在はICANN傘下でIPアドレスなどを管理する組織となったInternet Assigned Numbers Authority(IANA)のIPv4アドレスの在庫を指す。

 この結果を受け,インテックシステム研究所の「IPv4枯渇時計」は,IANA在庫がなくなる「Xデー」を2011年6月16日とした。日本で地上テレビ放送が完全デジタル化する日程より早い。

 IPv4アドレスは,「/8」と呼ばれるアドレスの上位8ビットで決まるアドレス・ブロック(1ブロックはIPv4アドレス1677万7216個)を単位に数えられることが多い。実際,/8はIANAから地域のIPアドレス管理機関「Regional Internet Registry(RIR)」への割り当ての単位になっている。

 最近になって,IANAから世界に5機関あるRIRへの割り当て頻度が加速してきた。RIRは具体的には,アジア・太平洋地域担当のAPNIC,米国などを担当するARIN,欧州などを担当するRIPE-NCC,中南米担当のLACNIC,アフリカ担当のAfriNICの5機関である。2010年のこれらのRIRへの割り当て状況は:

 2010年1月,APNICに2ブロック割り当て(残り24ブロック)
 2010年2月,ARINに2ブロック(残り22ブロック)
 2010年4月,APNICに2ブロック(残り20ブロック),
 2010年5月,RIPE-NCCに2ブロック(残り18ブロック)
 2010年6月,LACNICに2ブロック(残り16ブロック)
 2010年8月(今回),APNICに2ブロック(残り14ブロック),といった具合だ。

 約7カ月で10ブロック減るという減少ペースは2~3年前の1.5~2倍と速い。この減少ペースが続くとすると,インテックシステム研究所の予測と同様,2011年6月ごろに在庫がなくなる計算になる。ただし,実際には各RIRへの公平を期すという立場から,残り5ブロックになった時点で,各RIRに自動的に1ブロックずつ配布するという協定になっている。このため,IANA在庫は,早ければ約6カ月後の2011年2~3月にも枯渇する可能性が出てきた。