ザインエレクトロニクスは,ディスプレイ内部での映像信号の伝送に向けたインタフェース技術「V-by-One HS」の新しい仕様「V-by-One HS Standard version1.3」を発表した。特徴は,各種3D仕様や,「シネマ解像度」(例えば縦横比21:9,画素数2560×1080)と呼ぶ映像信号の伝送に対応したことである。いずれも,「2011年のテレビのトレンドになる」(同社)とみており,今回の新仕様の策定に踏み切ったという。

 V-by-One HSは,従来のLVDSの代替を狙った,いわゆる「ポストLVDS」のインタフェース技術の一つである。例えば,液晶パネルのタイミング・コントローラと,画像処理などを行うテレビ向けSoCとのデータ伝送に利用する。最大データ伝送速度は信号線1対(1レーン)当たり3.75Gビット/秒である。

 3D映像については,右目用画像と左目用画像を識別するためのIDを埋め込む規定を盛り込んだ。一方,シネマ解像度への対応に関しては,例えば用いるレーン数を定めた。1レーン当たり3.7Gビット/秒とし,フレーム周波数が60フレーム/秒であれば2レーン,120フレーム/秒(「倍速」)であれば4レーン,240フレーム/秒(「4倍速」)であれば8レーンを利用する,といった具合だ。

 ザインエレクトロニクスによれば,テレビ向けSoCやフレーム・レートを高速化するLSI(FRC:フレーム・レート・コンバータ)の主要メーカーの50%以上が,V-by-One HSをインタフェースに搭載したチップを製品化しているという。2011年には採用メーカー数はさらに増加し,「全体の70~80%になるだろう」(同社)とする。なお,テレビ向けSoCを手掛ける大手メーカーには,例えばMediaTek社やTrident Microsystems社,Zoran社などがある。